ニガテな上司（センラ）

大変 ページ6

「はぁ〜」

大変なことになったなあ。

定時が過ぎ、ほぼほぼ人がいなくなったオフィスに、私の溜息が寂しく零れる。

自分の仕事もまだなのに、引き受けてしまうなんて。

ま、自分で引き受けるって決めたんだし、ちゃんとやらなきゃだよね。

大丈夫。

時間配分を考えれば、終わらない量じゃない。

よし、やろ！




「あれ、佐和まだ残ってたん？」

「あっ、お疲れ様です。」

不意に声をかけられ、キーボードを打つ手を止めて顔を上げる。

センラさんが、自身の席から少し身を乗り出して私の方を見ていた。

「なんでおるん？お前、残業せなあかんくらい仕事残ってへんやろ？」

「いえ、そんな。センラさんこそ…」

「俺は…まぁ、色々他にも忙しいことあるねん。せやから、できるだけ早めにできる仕事終わらせたくて残業できる時はいつも残っとるわ。」

「へえ、そうなんですか」

「…なぁ、もしかしてそれ、あいつの仕事代わりにやっとるん？」

(ﾄﾞｷ

あいつ。

センラさんが、なんの話しをしているのかすぐ分かった。

誤魔化したい気待ちになるけど、いい大人が嘘をつく訳にもいかない。

「なんか、彼女忙しいみたいなので…やむを得ず私が代わりに…」

「ふーん？お前も大変やなぁ」

「え」

珍しく、センラさんからの労いの言葉。

…と思ったけど。

「同い年のやつのポイント稼ぎ、そんなに楽しいん？」

「…は？」

それは勘違いに過ぎなかったと、私はすぐ実感することになる。

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