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寄道 ページ30

「これは俺とこいつの問題だ。
センラには関係ないだろ」

口元の血を拭いながら、浦田くんはセンラさんを睨みつける。

「…浦田さん、ふたりに何があったのかは知りません。
けど、佐和は仕事中です。
仕事中にこういうことをしてくるのは非常識でしょう。」

「…」

センラさんのひとことに、黙り込む浦田くん。

「佐和、行くで。」

「あ、はいっ…」

私とセンラさんは、浦田くんを置いてその場から離れた。

私は振り返らなかったし、浦田くんも私たちを追いかけてこなかった。



「…佐和、少し寄り道して帰ろうか」

「へ?」

会社はもうすぐそこなのに…何で?

「その腫れた目で帰られへんやろ。
そこのコンビニで少し冷やしてから帰ろう。」

「あ…」

そうだ私、泣いたんだった…。
どうりで目がひりひりするわけだ。

「…すみません。
私冷やしてから戻るので…センラさんは先に戻ってても…」

なんか待っててもらうの申し訳ない…。

「俺ちょうど珈琲飲みたかったからええよ、一緒行く。」

「あ。そうなんですね。」

私たちはすぐそこのコンビニに行くことに。

「私、トイレで目洗ってきますね。」

「ん。俺は珈琲買っとくわ」

入店して早々、センラさんに軽く会釈をしてからトイレへ。

(ガチャ

「……うわぁ…。」

入ってすぐ、手洗い場にある鏡を見てがっかりした。

そこに映っていたのは、目がみっともなく腫れた私。

アイライナー滲んでるし、マスカラもとれてる…。

「よかった…これで会社帰らなくて…」

本当はメイク直したいし、目元もガーゼで冷やしたい。

けどメイクポーチも財布も会社に置いてきてしまった。

仕方ない、トイレットペーパーで応急処置するしかないなぁ…。



「センラさん、お待たせしました」

「おー、はいこれ。」

戻ってきた私に、そう言ってセンラさんが手渡してくれたのは珈琲。

「えっあっ、すみません…!」

「別に。俺が飲むついでやから。」

ぶっきらぼうに答えるセンラさん。
右手には私に手渡したのと同じ種類の珈琲を持っている。

「ここイートインコーナーあるし、座って飲むかぁ」

「あ、はいっ」

一番奥のふたり席に向かい合って座ることに。

「…よかったわ」

「え?」

座って早々、口を開いたのはセンラさんだった。

良かったって…なにが…?

「…佐和が出た後、何となく、山田なんておったかって気になって…。
追いかけたらあんなことになってて、びっくりしたわ。
…よかった、無事で。」

「…え……」

嘘…追いかけてきてくれたの……?

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ちょこ - 終わってます!戻ってきてください!続き楽しみに待ってます! (2021年9月17日 1時) (レス) id: 5ad0b4ef6a (このIDを非表示/違反報告)
ルカ(プロフ) - この作品めっちゃ好きです!センラさん推しとしては嬉しいです!!あと、更新はもうしないのでしょうか?私は続きが読みたくて書かせてもらってます。ご検討お願いします (2021年4月8日 3時) (レス) id: a2041f9d5c (このIDを非表示/違反報告)
蜜-mitsu-(プロフ) - いろみずさん» 返信遅くなってしまってごめんなさい!通知に気づいていませんでした…!センラさんが大好きなので、毎度更新するのが楽しいです!読んでくださってありがとうございます! (2020年6月20日 23時) (レス) id: d0044b0fe5 (このIDを非表示/違反報告)
いろみず - ああああああ!好きが溢れてますね!これからも頑張ってください! (2020年5月31日 18時) (レス) id: be92b83ba0 (このIDを非表示/違反報告)
蜜-mitsu-(プロフ) - あまち@黄色さん» わぁぁありがとうございます!浦田さんが悪者であることに以前指摘を受けたことがあったので、そういう風に言っていただけることはとても嬉しいです。作者的にも、実はこの過去大好物で(笑)先日実習が終わったので、また更新したいと思っています! (2019年11月18日 12時) (レス) id: d0044b0fe5 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2018年8月3日 23時

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