81話 ページ31
付き合い始めて、２ヶ月ちょっと。
初めて見た、彼の弱々しい姿。
その姿が切なくて、彼の思いに胸が締め付けられて。
気づけば抱きしめていた。
JH『…かっこ悪いだろ』
『…そんなことないよ』
JH『調理師目指す夢も、応援してやれないような、ちっちゃい奴だよ？』
『それだけ、私と離れたくないって、ことなんでしょ…？』
JH『なんか負けた気分』
『ふふ、そんなことないよ』
そっと体を離せば、うさぎのように真っ赤な目をしたジェヒョンくん。
愛おしくて、心がキュンとなって。私は人目をはばからず、その胸に飛び込んだ。
JH『わ、…てか体冷たい。ごめん、こんなにびしょ濡れにして…』
『私は、引き止めて欲しかったの』
JH『…え？』
『あの日、１年は戻らないって話した日。行かないでって。俺から離れるなって、言って欲しかったの』
JH『A…』
私、ジェヒョンくんが思ってるほど、夢見る女の子じゃないよ。
好きな男の子と、離れたくなくて。
ずーっと一緒にいたくて。
でも、夢も叶えたくて。
わがままな女なの。
その割に、ジェヒョンくんはどう思っているんだろうって不安になって。
こんな気持ち、私だけなのかなって寂しくなって。
『テイルさんにも、そのことを相談してたの…本当にごめんなさい』
JH『…不安にさせて、俺こそごめん』
私を抱きしめる彼の腕が、少しだけ緩まる。
そのまま肩を掴まれて顔をあげれば、うさぎのような瞳。
JH『俺が会いに行く』
『え…』
JH『お前がいる日本に。必ず会いに行くから。だから、Aは夢を追いかけて』
『ジェヒョンくん…』
JH『その時は、美味しいご飯、たくさん作ってよね』
『〜〜うんっ！』
JH『あ、見て…』
『晴れた…』
分厚い雲の隙間から、一筋の光がさす。
いつの間に止んでいたのか、雨は大きな水たまりを残して去っていた。
『ねぇ、私たち、似た者同士だね』
JH『…よくそんな難しい言葉、知ってるな』
『ふふ。喧嘩するほど仲が良いって言うでしょ』
JH『…本当に勉強頑張ってるんだね』
『私の夢、言ってもいい？』
JH『え…？調理師でしょ？』
『韓国で、だーいすきな人と暮らしながら、忙しい彼のために、美味しくて栄養のあるご飯を作ることなの』
JH『…それって、俺？』
『ふふ、なーいしょ！』
JH『な、内緒ってなんだよ！あ、待て！！』
雨上がりの公園を、笑いながら走る。
まだ幼い私たちは、きっとこれから何度もすれ違うだろう。
でも、その度に乗り越えていけるよね。
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smiley_heram(プロフ) - うわわわわわ！めちゃくちゃキュンとして思わず泣いちゃいました…本当にいつも感動をありがとうございます！いつも応援してます！ (2019年1月3日 17時) (
レス) id: 4d5c582579 (このIDを非表示/違反報告)
ルイ(プロフ) - やったー！大好きなお話だったので、続編嬉しいです！！楽しみにしてまーす( ^ω^ ) (2018年10月30日 21時) (レス) id: 9488cd6895 (このIDを非表示/違反報告)
メェネェ(プロフ) - とても好きな作品なので削除はつらいです。 (2018年10月27日 23時) (レス) id: f6ab9f70c2 (このIDを非表示/違反報告)
さーちゃん(プロフ) - このお話に出会ってからNCTを知ることができました。完全に削除するんじゃなくてパスワード限定公開とかにはしませんか？？このお話は私の精神安定剤です。わがままですいません。 (2018年10月26日 19時) (レス) id: fabce44eac (このIDを非表示/違反報告)
あき(プロフ) - 続編、番外編とても楽しみにしていたので残念です。何回も読み直したり楽しく拝見していたのでシリーズごと削除されるとのことでショックです…今後書き直して再度アップすることもないのでしょうか？ANAさんの作品が好きなので悲しいです。でもこれからも応援します。 (2018年10月26日 15時) (レス) id: da6d9d40c0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ANA
| 作成日時：2017年10月3日 14時
