76話 ページ26
JH『何はともあれ…？』
『だね。来年の３月に開店予定だって。ちょっとホッとした…』
JH『来年の春かー。まだ先だな』
『この冬は、夫婦水入らず、チェジュ島で過ごすみたいだよ』
JH『なんか、いいよな』
『うん。素敵なご夫婦だよね』
(家内には、笑ってくれるだけでいいから、レジに座っててもらおうと思うんだ)
印象的だったあの笑顔が、頭に浮かんでは、消えていく。
漢江沿いのウォーキングコースを、肩を並べてゆっくり歩く俺たち。
日がくれた川は暗くて。これならバレないだろうと、隣のAの手をそっと握った。
JH『…店が開く頃には、帰っちゃうんだ、よね？』
『…うん』
JH『そうだよな。いつも同じ質問ばっか。ごめん』
『ううん…』
JH『デートも大して出来ないし…ホント、ごめん』
『そんなことないよ、こうやって時間作ってくれるだけで、嬉しいもん』
さっきまで泣いていた顔は、目元がちょっとだけ赤くて。
握った手のひらは、驚くほど冷たくて。
きっと俺が思う以上にさみしい思いを、たくさんさせているんだろうなと思うと、何だか胸が苦しくなった。
『ジェヒョンくん』
JH『んー？』
『ラーメン食べよ！コンビニのやつ！四角いのでグツグツ煮るやつ！』
JH『おーし、得意料理だ、任せて』
こんな冗談にも大笑いしてくれるAを、大事にしたくて。
でも、あと半年後には日本に戻らなくてはいけなくて。
その後ろ姿を、俺は見送れるのだろうか？
JH『熱いよ、フーッ…はい、どうぞ』
『ありがとう〜！んんッ！美味しい！』
JH『それはよかった』
幸せそうな顔に、少しだけ安堵する。
でも、彼女の放った一言に、打ち砕かれそうになった。
『私ね、日本に帰ったら、１年は戻らない』
JH『え…？』
『日本で、調理師免許を取ろうと思うの。大学行きながら、レストランでいっぱい働いて。きっと忙しくなるから、１年は会えないと思う』
JH『そんな…大学卒業してからでも…』
『ううん。今やりたいの。今じゃなきゃ、ダメだと思うの』
幸福亭でバイトして気づいたの。
誰かを料理で幸せにしてあげたいんだって。
ずっと言わなきゃって思ってたんだけど、なかなか言い出せなくて。
(だから、私こそ、勝手でゴメンね)
……そんな泣きそうな顔で、むりやり笑うなよ。
YT『おーお帰り。遅かったなぁ』
JH『…』
YT『ジェヒョナ？どうかした？』
JH『…ヒョン、』
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smiley_heram(プロフ) - うわわわわわ！めちゃくちゃキュンとして思わず泣いちゃいました…本当にいつも感動をありがとうございます！いつも応援してます！ (2019年1月3日 17時) (
レス) id: 4d5c582579 (このIDを非表示/違反報告)
ルイ(プロフ) - やったー！大好きなお話だったので、続編嬉しいです！！楽しみにしてまーす( ^ω^ ) (2018年10月30日 21時) (レス) id: 9488cd6895 (このIDを非表示/違反報告)
メェネェ(プロフ) - とても好きな作品なので削除はつらいです。 (2018年10月27日 23時) (レス) id: f6ab9f70c2 (このIDを非表示/違反報告)
さーちゃん(プロフ) - このお話に出会ってからNCTを知ることができました。完全に削除するんじゃなくてパスワード限定公開とかにはしませんか？？このお話は私の精神安定剤です。わがままですいません。 (2018年10月26日 19時) (レス) id: fabce44eac (このIDを非表示/違反報告)
あき(プロフ) - 続編、番外編とても楽しみにしていたので残念です。何回も読み直したり楽しく拝見していたのでシリーズごと削除されるとのことでショックです…今後書き直して再度アップすることもないのでしょうか？ANAさんの作品が好きなので悲しいです。でもこれからも応援します。 (2018年10月26日 15時) (レス) id: da6d9d40c0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ANA
| 作成日時：2017年10月3日 14時
