69話 ページ19
(ジェヒョン なに食べたい！？)
(Aが作ってくれるものなら何でも嬉しいよ)
「何でもいいが、一番困っちゃうんだけどなぁ…」
『Aちゃーん！スンドゥブチゲあがったよー！』
『あ、はーい！』
海鮮たっぷりのチゲをお客さんに届ければ、こりゃあ美味そうだ、と笑顔になる。
私が作ったわけじゃないのに、途端に嬉しくなるから、やっぱり料理の力ってすごい。
『Aちゃん、チヂミ作ってみるかい？』
『え！いいんですか！？』
『最近熱心に料理研究をしているようだからね。ほら、フライパンを熱して』
『は、はい！』
慌てて厨房に入れば、チゲを作り終えたアジョシが椅子に座って新聞を眺めていた。
エプロンを固く結び直してコンロの前に立つと、熱風が頬をかすめる。
(よーし！)
ごま油を多めに引いたフライパンに、以前教わった通りの配分でニラとイカを混ぜた生地を流し込む。
じゅうじゅうと香ばしい香りが立ち上がれば、ひっくり返してもう片面に火を通す。
こんがり焼いて…うん、美味しそうにできた！
『また腕が上がったよねぇ』
『ほ、ホントですか？私、アジュンマのチヂミ大好きだから…一生懸命練習したんです』
『うん、知ってるよ。具と生地の配分もバッチリだ』
『ありがとうございます…！』
美味しく作れたから。と、店内にいるお客さんにもサービスするアジュンマ。
ここのところ腰の具合が良くないようで、いまもヨロヨロと歩いていて、動きがぎこちない。
(ちょっと、痩せたみたいだし…大丈夫かな…)
『ジェヒョニは元気かい？』
『あ、はい。私も会ってないですけど、元気だと思います』
『あいつ私には連絡よこさないからねぇ』
薄情なやつだよまったく。と笑いながら、優しい目で遠くを見つめるアジュンマ。
『Aちゃんはジェヒョニの幸運の女神みたいだね』
『コーウン？』
『なんて言えばいいのかな。ラッキーガール？』
『…？』
椅子にゆっくり座るアジュンマの背中を支えれば、
ありがとうと言って辛そうに腰掛ける。
『アジュンマ…私やっぱり明日も出勤します』
『なに言ってんだい。明日は大切な約束があるって２週間前から楽しみにしてただろ？』
『そうだけど、でも…』
『約束は守らないと。気にしないで、楽しんでおいで』
アジョシの新聞をめくる音が、微かに聞こえる。
こんがり焼けたチヂミを美味しそうに食べてくれるアジュンマは、どこか無理しているように見えた。
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smiley_heram(プロフ) - うわわわわわ！めちゃくちゃキュンとして思わず泣いちゃいました…本当にいつも感動をありがとうございます！いつも応援してます！ (2019年1月3日 17時) (
レス) id: 4d5c582579 (このIDを非表示/違反報告)
ルイ(プロフ) - やったー！大好きなお話だったので、続編嬉しいです！！楽しみにしてまーす( ^ω^ ) (2018年10月30日 21時) (レス) id: 9488cd6895 (このIDを非表示/違反報告)
メェネェ(プロフ) - とても好きな作品なので削除はつらいです。 (2018年10月27日 23時) (レス) id: f6ab9f70c2 (このIDを非表示/違反報告)
さーちゃん(プロフ) - このお話に出会ってからNCTを知ることができました。完全に削除するんじゃなくてパスワード限定公開とかにはしませんか？？このお話は私の精神安定剤です。わがままですいません。 (2018年10月26日 19時) (レス) id: fabce44eac (このIDを非表示/違反報告)
あき(プロフ) - 続編、番外編とても楽しみにしていたので残念です。何回も読み直したり楽しく拝見していたのでシリーズごと削除されるとのことでショックです…今後書き直して再度アップすることもないのでしょうか？ANAさんの作品が好きなので悲しいです。でもこれからも応援します。 (2018年10月26日 15時) (レス) id: da6d9d40c0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ANA
| 作成日時：2017年10月3日 14時
