すべては。（赤） (ページ15)

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『ま、座りや』

そう先輩に言われて

先輩の前に座る。

わぁ、なんか、やばい。

久しぶりに、じっくり先輩の顔を見た。

もちろん、年をとったから老けたけど

高校生の時と何にも変わってない。

『なんやねん、そんな見んなや笑』

「ふふ、久しぶりだなぁって」

『ふ、そか。
何頼む？』

「あー、とりあえず生で。」

『りょーかい、すいませーん』

先輩が店員さんを呼んで頼んでくれた。

店員さんにメニューを言ってる時の横顔が

なんだかすっごくかっこよくて見とれてしまった。

あぁ、好きだ。

また、好きが募っていく。

そんな事考えてたらいつの間にか頼み終わっていたみたいで

『おーい、Aー？』

ぼんやり、私の目の前で手を振る先輩が見えた。

「え、あ…」

『なんやねん、ぼーっとしすぎやわ笑』

「ごめんなさい、笑｣

『そーいやさ、お前関西弁どうしたん』

「え、？」

『いや、出てないやん？』

「あー、まぁ色々あって…」

『そか、』

色々あって、関西弁を封印した私。

きっと、なんで封印したのか、気になると思うの。

高校生のとき、バリバリ関西弁だったんだからね。

でも、そこを聞かないでいてくれるのが

先輩なりの優しさなんだって、すごく胸が温かくなった。