第451話 貴方は一体誰でしょう？ ページ27
「返答と行動によっては即やるから覚悟してね、蓮翠」
「ちょっと待って違う違う。今日はそういう用事じゃないから」
Aが臨戦態勢をとったのを見るや否や、蓮翠は慌てたようにぶんぶんと首を振った。
今の彼からはこちらへの敵意が微塵も感じられないが、それが逆にAの警戒心を強めさせる。
「僕はただ、君たちをチェスの会場へ送りたいだけなんだ」
「はい？」
意味が分からない。
そんなことをして蓮翠に何の得があるというのか。
「……って言いたそうな顔してるね」
「人の顔から思考読まないでくれる！？」
「Aが分かりやすいんだよ。あと、手を貸す理由はある。僕がこうするのは飛王の為にもなるからね」
もし留守番をしていたのがモコナだけなら、じきに“迎え”が来て仲間と合流できただろうが、ここにAが加わるなら話は別だ。
Aなら絶対にじっとしていない、迎えを待たずに飛び出していくと、蓮翠は確信していたんだそうだ。
大きな乖離は飛王の計画にも支障をきたす。
今の時点で既に道筋が大きく改変されているというのに。
「だからね。本筋から外れすぎないようにするために、ってあの男を丸め込んできた」
本当はただAに会いたかっただけなんだけどね、と語る蓮翠から、嘘は感じられなかった。
助けた理由としては正当性があり、辻褄も合っている。
それに、もし自分を害するのが彼の目的であれば、盾を張れなんて言わずにあのまま車で轢き殺せば済むだけの話。
「約束する。必ず君たちを彼らのところに連れて行くから」
さあ乗って、と蓮翠が言う。
Aはモコナと二人して顔を見合わせた。
疑いが完全に晴れたわけじゃない。
蓮翠が何かせずとも、もしかしたらこの車そのものに何か仕掛けがあるのかもしれない。
不安要素なら山ほどある。
けれど……今は、それよりなにより時間が惜しかった。
「分かった、今は貴方を信じる。でも、少しでも変な真似をしたら容赦しないからね」
「優しいなあAは」
「あと、さっきから口調が“蓮翠”じゃなくてどこかの誰かさんになってるけど。それ、わざと？」
「え」
「本当だ。蓮翠、今日は敬語じゃないんだね」
「しまった、戻すの忘れてた……でも、今更変えたところであんまり意味ないしこのままでいいよね？」
「開き直ったな」
「モコナは敬語じゃない蓮翠もいいと思うよ！」
そんなたわいもない話をしながら、Aたちは蓮翠の車に乗り込んだ。
そしてーー
第452話 到着しちゃったよ→←第450話 あわやリタイア危機一髪
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白野 - 最初から一気に読んでしまうくらいとても面白かったです！続きを楽しみにお待ちしています！ (2021年11月3日 22時) (
レス) id: 9415252d02 (このIDを非表示/違反報告)
輝石 コハク(プロフ) - まめさん» コメントありがとうございます！ 1から10まで一気に！？ ありがとうございます、そしてお疲れ様です！ しかも読みやすいと言って頂けるとか重ね重ねありがとうございます！！ まだ28巻中の半分を超えたぐらいなので、これからもお付き合い頂けると幸いです！ (2020年5月15日 16時) (レス) id: 75674cf5a0 (このIDを非表示/違反報告)
輝石 コハク(プロフ) - あゆさん» 長らく音沙汰なしでごめんなさい！ 色々あって時間を取れずにいましたが、完結させると豪語した以上は少しずつでもお話を書き続けていきますので！ 筆が遅い分内容も丁寧に……なるかは分かりませんが、よろしければこれからもお付き合いください！ (2020年5月15日 16時) (レス) id: 75674cf5a0 (このIDを非表示/違反報告)
まめ - はじめから一気に読みました！！とても面白くてすいすい読めました！更新頑張ってください(* ´ ▽ ` *) (2020年5月12日 17時) (レス) id: dd4ecb1951 (このIDを非表示/違反報告)
あゆ - 復帰(？)、おめでとうございます！ (2020年5月9日 18時) (レス) id: 3afd599366 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：輝石 コハク | 作成日時：2019年4月15日 22時
