第425話 盤上の騎士達と ページ1
『小狼』たちは白と黒のチェックが描かれたフィールドの上にいた。
中央にいるのは『小狼』で、その両隣に黒鋼とファイ。
真っ黒な服を着た三人の身には身動きができないように鎖が繋がれ、また彼らはそれぞれ違う武器を持っていた。
サクラは三人の少し上で、黒い翼の生えた卵型の椅子のようなものに座ってフィールドを見下ろしている。
『小狼』達の反対側には同じように武器を持ち、鎖で動きを封じられている白い服の三人。
その上にはやはり白い服の女性がいた。
今から始まるのは少々危険な遊戯。
四人はある目的のために少し前からこの遊戯に参加している。
そしてモコナとAは…
「今日も始まるね」
「うん。……見てるこっちまで緊張してきた」
二人揃ってテレビの前。
4つの目が見つめる先にある画面には、先に述べた通りの光景が映し出されている。
「READY……GO!!」
Aたちが見守る中、液晶の向こうで白いウサギがゲーム開始の合図をする。
その瞬間、6人の首輪や全身を拘束していた鎖が外され、両チームのプレイヤーが一斉に飛び出した。
賭け金を募り、チェスになぞらえて駒となるプレイヤー同士を戦わせるこの遊戯。
一応ルールは存在するがそれももはや形だけ、最近では何でもありのアンダーグラウンド傾向にある為、盤上で戦う駒たちは相応の危険を覚悟しなければならない。
しかもマスターにも、精神力が保てずに駒が負ければ廃人になるというリスクがある。
この、あまり趣味がよろしくないイベントを主催しているのはビジョンという家。
ここ“インフィニティ”で手広く事業展開している金持ちの家だ。
優秀な当主とそれを支える双璧のおかげで栄えているようだが、その一方で何か危ないことをしているという噂も聞く。
この催しも違法なものらしいし、実はマフィアなんじゃないか、と囁かれてもいるようだ。
「っとと、考え事より今はみんなを応援しなきゃね」
Aは改めてテレビ画面に、その向こう側で戦う仲間たちに意識を集中させる。
黒鋼は貸し与えられた長刀で次々と相手を倒している。
それでもまだ余裕があるらしく、口元には笑みが浮かんでいた。
ファイは棒の先に長い鎖をつけたような武器を振るっていた。
もともとの彼は魔法を使って戦うのが主だが、この世界には魔法が存在しないので今回は武器である。
『小狼』が使っているのは籠手に長めの刃がついたような不思議な武器。
けれどそれを使いこなせているあたり流石と言えるだろう。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 51人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
白野 - 最初から一気に読んでしまうくらいとても面白かったです！続きを楽しみにお待ちしています！ (2021年11月3日 22時) (
レス) id: 9415252d02 (このIDを非表示/違反報告)
輝石 コハク(プロフ) - まめさん» コメントありがとうございます！ 1から10まで一気に！？ ありがとうございます、そしてお疲れ様です！ しかも読みやすいと言って頂けるとか重ね重ねありがとうございます！！ まだ28巻中の半分を超えたぐらいなので、これからもお付き合い頂けると幸いです！ (2020年5月15日 16時) (レス) id: 75674cf5a0 (このIDを非表示/違反報告)
輝石 コハク(プロフ) - あゆさん» 長らく音沙汰なしでごめんなさい！ 色々あって時間を取れずにいましたが、完結させると豪語した以上は少しずつでもお話を書き続けていきますので！ 筆が遅い分内容も丁寧に……なるかは分かりませんが、よろしければこれからもお付き合いください！ (2020年5月15日 16時) (レス) id: 75674cf5a0 (このIDを非表示/違反報告)
まめ - はじめから一気に読みました！！とても面白くてすいすい読めました！更新頑張ってください(* ´ ▽ ` *) (2020年5月12日 17時) (レス) id: dd4ecb1951 (このIDを非表示/違反報告)
あゆ - 復帰(？)、おめでとうございます！ (2020年5月9日 18時) (レス) id: 3afd599366 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：輝石 コハク | 作成日時：2019年4月15日 22時
