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「Aさん……」
「………はい。」
解剖が終わったあと、共有スペースで休憩をしていた彼女に伊地知が声をかけた。
「すみません、こんな時に……」
「………任務?」
「い、いえ……その……お二人の死亡の原因となった呪詛師の調査なんですが………その、これ……薫子さんの傍に落ちていたもので………まだ、鑑定にも出していないものです………」
そう言って差し出された血まみれの白い紙。適当なメモ用紙のようなそれを受け取った。
[禪院A様
6月_日 同じ場所でお待ちしております。]
自分の名前と今日の日付。グシャッと握り締められたメモ用紙。自分が狙いだった、その事実に罪悪感が募る。二人が死んだのは自分のせいだ。
「………このこと、五条先生には?」
「ま、まだです。死亡の連絡もこれから……」
「……まだ言わないで。」
「え…?」
「明後日には帰ってくるんだよね。その時言って。」
「でも……」
「……このことは口外しないこと。約束して。」
「……は、い………」
彼女から放たれる殺気に、伊地知は思わず頷いた。彼女は立ち上がると、その手紙を伊地知に押し付けた。
「…………向こうの狙いは私。犠牲は私だけで十分。どんな狙いがあるか知らないけど、私が狙いであることは確かなんだから。
ま、明後日までに帰らなかったら様子見に来て。」
それだけを言って去っていく彼女に、伊地知は何も言葉をかけることが出来なかった。そのまま動けずにそこにいた伊地知の肩を、誰かが叩く。
「どーしたんすか、伊地知さん。」
「ま、眞門くん…………い、いえ…な、なんでも………」
「……………何があったんすか。汗、やばいっすよ。」
「い、いや………」
「…………ん?」
「あ、ちょ…!」
眞門は伊地知の手から血まみれのメモ用紙を奪うと、中身を覗いた。
「………これは………」
「……薫子さんのそばにあったものです。それを読んで、Aさんは先程向かわれて………誰にも口外するな、と。五条先生にも言わないように、明後日までに帰らなかったら様子を見に来いとのことでした…」
「………あのバカ。」
眞門はそのメモ用紙を持って教室の方へと走り出す。
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夜 - とても面白くていつも続きを楽しみにしてます。更新頑張ってください! (5月23日 15時) (レス) id: c9a43346ff (このIDを非表示/違反報告)
sou(プロフ) - あれ??五条先生オチ??ってなってます笑笑これからどんな風に夏油さんオチになるのか楽しみです!! (2022年1月21日 15時) (レス) @page28 id: 26a665cc7a (このIDを非表示/違反報告)
五条彩香(プロフ) - 更新お願いします。・゚・(ノД`)・゚・。。・゚・(ノД`)・゚・。。・゚・(ノД`)・゚・。 (2021年5月11日 1時) (レス) id: 387b7f4b11 (このIDを非表示/違反報告)
Suzu(プロフ) - 匿名さん» そういう言い方はやめたほうが…… (2021年4月30日 17時) (レス) id: 11ffe6e997 (このIDを非表示/違反報告)
五条彩香(プロフ) - wkwk(((o(*゚▽゚*)o)))wkwk (2021年4月29日 16時) (レス) id: 387b7f4b11 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:花蛸花 | 作成日時:2021年4月17日 0時