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「君が、禪院Aだね。」
高専の敷地内でタバコを吸っていた彼女は聞き慣れないその声に顔を上げた。ごつごつと低い音を響かせるブーツ。長い金髪。初めて見るその女をじーっと見つめる。
「どんな男がタイプだい?」
「私は下手な男より女が好きだな。」
「おや、じゃあ私みたいな女は?」
「素性も知れぬ女はごめんだね。あと言っとくけど、私はもう禪院じゃない。今は伏黒だ。」
そう言いながらタバコの日を消し、再びスマホに目線をやった。その女はなんの断りもなく彼女の隣に座る。
「私は特級呪術師九十九由基………って言ったら分かるかい?」
Aは顎に手をやり少し首を傾げて考えた後、ぱちんと指を鳴らしてなにか閃いたかのように顔を上げた。
「仕事しないって噂の特級呪術師か。」
「………やっぱり私って高専きら〜い。」
九十九は不貞腐れたようにそう言うと、また新たなタバコに火をつけようとする彼女に目をやった。なんだと言いたげな彼女は、九十九を睨みつけるようにして見つめる。
「君だろう?夏油くんの元部下ってのは。」
「………部下じゃねぇよ。きしょいこと言うな、殺すぞ。」
「おや、これは失礼。噂の最恐呪術師の実力は見てみたいが、今日のところは遠慮したいね。」
全て分かっているかのように笑う九十九に、思わず舌打ちをした。
「君は、非術師をどう思う?」
「…………どういう意味?」
「そのままの意味さ。」
「……雑魚。弱っちい癖に態度だけでかい。誰かに守られてることも忘れてふんぞり返ってる姿は反吐が出るね。」
彼女は深くタバコを吸い込むと、ゆっくりと煙を吐き出した。煙はもくもくと上がっていき、風に靡いて消えていく。
「非術師が嫌いかい?」
「………非術師に限った話じゃない。私は人間が嫌いなんだ。屑で、弱っちくて、強くもねぇのにふんぞり返ってる奴は特にね。」
「では、非術師と術師を明確に分けるとしたら?」
「………さぁね、分からないな。」
彼女の表情はよく見えない。九十九はそんな彼女の横顔をじっと見つめ、小さく笑った。夏油とはまた違う回答だったが、少なからずも考え方は似通っている。
「君に会いに来てよかった。」
面白いものを見れた。九十九は気分よく高専から出る。夏油の時のようなお見送りがない所から、やはり禪院甚爾の血が強いと見た。
「あ、タイプ聞き忘れた。」
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夜 - とても面白くていつも続きを楽しみにしてます。更新頑張ってください! (5月23日 15時) (レス) id: c9a43346ff (このIDを非表示/違反報告)
sou(プロフ) - あれ??五条先生オチ??ってなってます笑笑これからどんな風に夏油さんオチになるのか楽しみです!! (2022年1月21日 15時) (レス) @page28 id: 26a665cc7a (このIDを非表示/違反報告)
五条彩香(プロフ) - 更新お願いします。・゚・(ノД`)・゚・。。・゚・(ノД`)・゚・。。・゚・(ノД`)・゚・。 (2021年5月11日 1時) (レス) id: 387b7f4b11 (このIDを非表示/違反報告)
Suzu(プロフ) - 匿名さん» そういう言い方はやめたほうが…… (2021年4月30日 17時) (レス) id: 11ffe6e997 (このIDを非表示/違反報告)
五条彩香(プロフ) - wkwk(((o(*゚▽゚*)o)))wkwk (2021年4月29日 16時) (レス) id: 387b7f4b11 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:花蛸花 | 作成日時:2021年4月17日 0時