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「あなたは、どうして禪院家の当主になりたいのですか?」

「あん?」





五条の付き添いでやってきた加茂家。ただただ広い庭を眺めながら縁側に座りタバコを吸っていると、黒髪の少年が彼女に声をかける。





「の、憲紀様……!」

「なんでだと思う?」





彼女はうっすらと笑いながら煙を吐いた。彼女は今、禪院家に楯突いた術師として知られている。それも残酷で、何をしでかすか分からないとまで言われている。そんな彼女になんの脈略もなく声をかけた少年に、付き添いの女中が冷や汗を流していた。





「分かりません。家の者からあなたの話を聞いた限りでは、そんなものに興味が無さそうだ。では何故?」

「別に、いい暮らしがしたい訳じゃないよ。」





Aはにやりと笑ってみせると、タバコを灰皿へと押しつぶし、しっしっと手でその女中を追い払う。女は怖くなったのか、がくがくと震えながらその場を後にした。





「憲紀って呼ばれてたね。君が加茂家の嫡男か。心配せずとも、君が当主になる頃には私が禪院家の当主になってる。」

「どうして当主になりきれるという自信が?」

「一番の適任者だからだよ。今のところはね。」

「今のところ……?」





彼は首を傾げた。Aはそれ以上多くは語らなかった。彼は彼女に不信感があった。ぽっと出の呪詛師上がりの特級呪術師。壮大な過去の話も聞いてはいるが、それでも不信感があった。

だから声をかけたが、余計に謎は深まるばかりだった。裕福な暮らしも望んでいない、ただ自分が一番の適任者だと語る彼女の本音は分からぬまま。





「逆に聞く。君はなぜ当主になる?」

「それは……私がこの家の嫡男として産まれたから。」

「ほら、なにか大きな理由があるかと言われればそうじゃないだろ?それと一緒だよ。君も私と同じ。理由なく当主になる。それは何故か?適任者だからだよ。

当主なんてものに意味も理由もない。呪術会で食い殺されていくだけだ。」





Aは彼の頭を数回優しく撫でてやると、その場を立ち上がる。





「そろそろ五条さんが戻ってくる。君もあのお付のお姉さんのところに戻りな。」





Aはそう言いながらタバコを咥えると、火をつけて縁側を歩き始める。どこからか、「屋敷内での歩き煙草はお止め下さい!せめて外、もしくは控えのお部屋で……!」という家臣の声が聞こえてきた。

彼女への謎は余計に深まり、彼は眉間に皺を寄せた。

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- とても面白くていつも続きを楽しみにしてます。更新頑張ってください! (5月23日 15時) (レス) id: c9a43346ff (このIDを非表示/違反報告)
sou(プロフ) - あれ??五条先生オチ??ってなってます笑笑これからどんな風に夏油さんオチになるのか楽しみです!! (2022年1月21日 15時) (レス) @page28 id: 26a665cc7a (このIDを非表示/違反報告)
五条彩香(プロフ) - 更新お願いします。・゚・(ノД`)・゚・。。・゚・(ノД`)・゚・。。・゚・(ノД`)・゚・。 (2021年5月11日 1時) (レス) id: 387b7f4b11 (このIDを非表示/違反報告)
Suzu(プロフ) - 匿名さん» そういう言い方はやめたほうが…… (2021年4月30日 17時) (レス) id: 11ffe6e997 (このIDを非表示/違反報告)
五条彩香(プロフ) - wkwk(((o(*゚▽゚*)o)))wkwk (2021年4月29日 16時) (レス) id: 387b7f4b11 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:花蛸花 | 作成日時:2021年4月17日 0時

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