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任務があるから、と箕野だけを残して二人は箕野家を後にした。先程からずっと黙っている彼女に、眞門は少し落ち着きがなさそうにも見える。
「………A、?」
「…………ん?」
「お前、さっきから変だぞ?」
「……………んー……………うん。」
やはりいつもと違う。先程箕野の両親と会う前は普通だったはずだ。どこからだ?そう首を傾げていると、彼女が口を開いた。
「………普通の親って、あんな感じなんだ。」
「え?……あー……うん、まぁ、そうだろうな。俺の母親もあんな感じだったよ。」
「………母親だけ?」
「うん。……母親は優しくてさ、こんな俺にもめちゃくちゃ愛情を注いでくれてたよ。5年前に病死したけど。」
「………そう。………私、街で家族を見た時にも、あれが普通なのかって思うことはあったけど、なんか、改めてそうなんだって思った。普通以上の理想的な家族だった。」
彼女のその言葉を眞門は黙って聞いていた。彼女にとって家族とはなんだろうか。暴力を振るう親?夏油とその一党?本当の家族とはなんなのか、その日初めて知ったのだと思う。
「………いい人たちだったな。」
「…………うん。太良は幸せ者だよ。」
「…………だな。」
「…………みんながあんな風だったら、私みたいな人間は産まれなかったと思う。」
「…………まぁ確かに、子供に手あげる親はクズもいいとこだ。でも、だから子供もそうなるってわけじゃない。お前はその分苦労を知ってる。俺はお前が産まれてきてくれて良かったと思ってるよ。」
「……なに、急に。キモ。」
「せっかくいいこと言ってやってんのにキモ、はねぇだろ。」
「……………ありがとね。」
「………………ん。」
なんかさらに気まずくなったか?と首を傾げながら彼女を見ると、先程よりもスッキリしたようにも見えた。なんだこれでいいのか。
それがなんだか嬉しくて、眞門は小さく笑う。
「太良への土産、なん買ってくよ。」
「饅頭でいいんじゃない?」
「だな。」
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夜 - とても面白くていつも続きを楽しみにしてます。更新頑張ってください! (5月23日 15時) (レス) id: c9a43346ff (このIDを非表示/違反報告)
sou(プロフ) - あれ??五条先生オチ??ってなってます笑笑これからどんな風に夏油さんオチになるのか楽しみです!! (2022年1月21日 15時) (レス) @page28 id: 26a665cc7a (このIDを非表示/違反報告)
五条彩香(プロフ) - 更新お願いします。・゚・(ノД`)・゚・。。・゚・(ノД`)・゚・。。・゚・(ノД`)・゚・。 (2021年5月11日 1時) (レス) id: 387b7f4b11 (このIDを非表示/違反報告)
Suzu(プロフ) - 匿名さん» そういう言い方はやめたほうが…… (2021年4月30日 17時) (レス) id: 11ffe6e997 (このIDを非表示/違反報告)
五条彩香(プロフ) - wkwk(((o(*゚▽゚*)o)))wkwk (2021年4月29日 16時) (レス) id: 387b7f4b11 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:花蛸花 | 作成日時:2021年4月17日 0時