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「殺す気がないなら逃げろ。これ教えたはずだよ?相手はお前よりも何倍も実践を積み続けてきた。特級なんだよ。僕にだって勝てないくせにあいつに勝てるわけないでしょ?殺す気がないなら尚更だよ?」





なぁ分かってんの?と、五条は包帯を外して彼女を見た。その碧眼には怒りが浮かんでいた。





「あれじゃ逃げる隙を与えてますよって言ってるようなもんだ。まぁあいつがあれくらいの事で逃げるとも思えないけどね。だから逃げろって教えたの。なに?自分が囮になってでも太良達を逃げさせたかったの?自分が犠牲になればそれでいいと思ってんの?」

「……………」

「なに?図星?………巫山戯んなよ。」





ガッと五条の右手が彼女の頬をつかみ、無理やり目を合わせるように顔を近付けた。最初は怒りを顕にしたような表情だったものの、段々とそれは悲しみに変わっていった。頬を掴んでいた手が緩み、その手が下に降りると、彼女の服の袖をキュッと掴んだ。





「………お前まで"俺"をおいてくのかよ………」





その声は今にも泣きそうなほどか細かった。親友は彼に背中を向け別の道を歩んでいった。二人で、二人だからこそ最強なのだと思っていた親友。そして次は彼女までもが背を向けて行ってしまうのではないかと、彼の心には不安だけが溜まっていった。

いつも大きく頼りがいのある彼の体は、なぜだか小さく見えて、彼女は思わず抱きしめた。





「………大丈夫だよ。私、ここにいるから。」

「…………どこにも行かないでよ、お願いだから…………」

「うん、」





五条は彼女の体を力強く抱きしめた。夏油が彼女を殺すとは思っていない。それでも心配なものは心配だった。あの時も冷静を装っていたが、変な汗が止まらなかった。





「………………いきてて、よかった、」

「早々死なないよ。」

「……………ねぇ、ぼくさ、君が思ってるよりも君が好きだよ。」

「…………そ。」

「…………だから、だから死なないでよ、」

「………善処する。」






これじゃまるで子供だな。そう思いながら彼の背中をトン、トン、と優しく叩いた。

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- とても面白くていつも続きを楽しみにしてます。更新頑張ってください! (5月23日 15時) (レス) id: c9a43346ff (このIDを非表示/違反報告)
sou(プロフ) - あれ??五条先生オチ??ってなってます笑笑これからどんな風に夏油さんオチになるのか楽しみです!! (2022年1月21日 15時) (レス) @page28 id: 26a665cc7a (このIDを非表示/違反報告)
五条彩香(プロフ) - 更新お願いします。・゚・(ノД`)・゚・。。・゚・(ノД`)・゚・。。・゚・(ノД`)・゚・。 (2021年5月11日 1時) (レス) id: 387b7f4b11 (このIDを非表示/違反報告)
Suzu(プロフ) - 匿名さん» そういう言い方はやめたほうが…… (2021年4月30日 17時) (レス) id: 11ffe6e997 (このIDを非表示/違反報告)
五条彩香(プロフ) - wkwk(((o(*゚▽゚*)o)))wkwk (2021年4月29日 16時) (レス) id: 387b7f4b11 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:花蛸花 | 作成日時:2021年4月17日 0時

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