・6 ページ6
｢言いましたよね、私に。利用する人は沢山いるぞって。｣
｢うん、言ったね。｣
｢…傑さんも、もしかしたらそうなのかもしれないと思って。……私の術式をここまで鍛えてくれたのも、体術を教えてくれたのも、利用するためなのかと思うと……あの人が分かりません。
あの人だけは…違うと思っていたのに……｣
今まで無表情だった彼女の瞳が悲しげに揺れたその一瞬を、五条は見逃さなかった。
｢あいつの野望に君みたいな人材はあって損は無いからね。二人がどういう関係だったか知らないけど、Aがあいつを信用出来ないなら僕のところに来ればいい。僕は絶対に見捨てたりしないよ？｣
｢……その言葉も、信用なりません。｣
｢ほんとだよ？若人が間違えた道に進もうとしているなら、僕にはそれを正す義務がある。教師だからね。
君はまだやり直せるよ。僕と一緒に少しずつ人を信用できるようになっていこう。高専のみんなは優しい人ばかりだよ〜非術師にだって、優しい人は沢山いる。｣
｢………｣
彼女は、手に持っていたカップに口をつけて少しだけ飲む。あと一押しかと、五条は小さく口角を上げた。
｢A、利用されてるって気づいたんだよね？それ、傑が知ったらまじで捨てられるかもよ？｣
｢…………｣
｢そうなって、傷つくのは嫌でしょ？僕の所においでよ。Aの身の回りの世話は僕がするからさ。服も、食べ物も、住むところも、全部保証するよ。｣
｢………言っておきますけど、私は傑さんの居場所を教えたりしませんよ。｣
｢それは予想してたから大丈夫。それに、僕の目的は傑の居場所じゃない。Aだからね。君をこちら側に引き入れて損は無いし、若人は若人らしく青春を楽しむ義務があるんだから。｣
｢………………あなたの所に行けば、少しは変われますか？｣
｢もちろん。変われるよ。｣
五条は笑って頷いた。
｢……わかりました……｣
｢そう来ないとね！じゃ、今すぐ荷物をまとめておいで。そうだねぇ…服は後で買ってあげるとして…着替えと下着と…メイクするならそれもいるよね！スマホは置いてきな、新しいの買うから。｣
計画通り彼女を上手く引き入れることが出来て、五条はご機嫌だった。
"悪いね、酷いこと言って"
光の無い目が悲しそうに揺れるのを見て、五条は心の中でそう呟いた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1105人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「呪術廻戦」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
三隣亡 - とても面白いです！！これからも頑張ってください！続きを楽しみにしてます！ (2021年3月28日 13時) (
レス) id: 9280cade43 (このIDを非表示/違反報告)
璃桜(プロフ) - 七並べって七を基準に並べていくゲームなので七を止めるって事は出来ないですよー (2021年3月25日 21時) (レス) id: b88feecc79 (このIDを非表示/違反報告)
夜野ちい(プロフ) - オリキャラ2人がイケメン過ぎて惚れました...!!これからも頑張ってください。更新楽しみにしてます！ (2021年3月19日 19時) (レス) id: 8c8c6f90f4 (このIDを非表示/違反報告)
まみこ(プロフ) - 夢主の絵が他の人の作品にあったやつと超似てますねびっくりしましたお話は面白いです！ (2021年3月15日 8時) (レス) id: e142c5115f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：花蛸花
| 作成日時：2021年3月15日 0時
