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「言うタイミングがなくて……」
「うそ……時雨さんの時だって、傑さん…止めてたじゃん……」
「そ、…れは………」
夏油は言葉につまり俯いてしまった。その様子にあぁ、やっぱりとAは唇を噛んだ。そんな彼女の表情を見るのは初めてで、夏油はどうすればいいのか分からなかった。
「……結局……傑さんも一緒じゃん……アイツらと……村の人たちと………!」
「ちがう、!話を聞いてくれ…!」
「………ごめん……いま………顔、みたくない……」
「…お願い、…嫌かもしれないけど、私の話を少し聞いてくれ……」
「………今聞きたくない………」
彼女が初めて自分の意見を言った。今まで言われるがままに任務をこなし、彼の言いつけを守ってくるだけだったのに。
「……………わかった。」
Aはソファーから立ち、自分の部屋に入るとドアに鍵を閉めた。
「…………人間なんて嫌い。」
ベットの上で膝を抱えて、丸まるように座った。人間はいつでも薄情だ。自分と違うものがいれば蔑み、利用出来るものがあれば平気で嘘をつく。
彼だけは違うと思っていた。でも、それは間違えだったのかもしれない。ポケットの中にある紙を取り出して、その文字をなぞる。大人にしては少し雑な字で書かれた名前。その下には電話番号とアドレス。
"「君を利用するつもりはないよ。」"
その言葉は真実か、偽りか。そんなの分からない。でも、別に利用されようがされまいがもうどうでもよかった。彼女の全ては夏油と家族。それらを失ったその先にはもう何も必要ない。なんの期待もしない。
スマホを開いて、アドレスを登録する。
【こんにちは、花園です。今日はお話聞かせていただきありがとうございました。もう一度お話がしたいのですが、よろしいでしょうか。】
営業で学んだ敬語を使い彼へとメッセージを送る。それへの返信は早くて、スマホがピコンッと音を立てた。
【おっけ〜それなら、明日なんてどう?場所と時間はそっちに合わせるからさ。】
その文面を見て彼女は人気のない公園を選び、時間を夜に指定した。その方が都合がいい。また何か返事が来たようだが、色々あったせいか疲れが出ていた。
シャワーは明日の朝浴びればいいか……と、そのまま目を瞑った。
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三隣亡 - とても面白いです!!これからも頑張ってください!続きを楽しみにしてます! (2021年3月28日 13時) (レス) id: 9280cade43 (このIDを非表示/違反報告)
璃桜(プロフ) - 七並べって七を基準に並べていくゲームなので七を止めるって事は出来ないですよー (2021年3月25日 21時) (レス) id: b88feecc79 (このIDを非表示/違反報告)
夜野ちい(プロフ) - オリキャラ2人がイケメン過ぎて惚れました...!!これからも頑張ってください。更新楽しみにしてます! (2021年3月19日 19時) (レス) id: 8c8c6f90f4 (このIDを非表示/違反報告)
まみこ(プロフ) - 夢主の絵が他の人の作品にあったやつと超似てますねびっくりしましたお話は面白いです! (2021年3月15日 8時) (レス) id: e142c5115f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:花蛸花 | 作成日時:2021年3月15日 0時