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「これがAの術式なのか。」





燃え上がる村。それは彼女が火をつけた住宅地からどんどん広がっていったものだ。





「術式って言うんだ、これ。……なんか知らない間に使えてた。」

「炎を操る術式か……いいね。」

「……炎だけじゃないよ。水、炎、木、土、自然のものならなんでも使える。」





彼女がそう言うと、夏油は目を見開いた。顎に右手を添えて考えるような素振りを見せたあと、ぽつりと呟いた。





「……自然操術式(しぜんそうじゅつしき)……」

「……?」

「Aの術式の名前だよ。すごいね、とても珍しい術式だよ。磨けばきっと、私と同じくらい強くなれる。」

「へぇ………おにーさんのはなんていうの?」

「名前で呼んでくれたら教えてあげるよ。」





どうにもそのおにーさんという呼び方は気に食わない。夏油は彼女を急かすようにして顔を覗き込んだ。





「……夏油さん……?傑さん……?」

「んー、傑さんの方がいいね、それにしよう。私の呪霊操術と言うんだ。詳しくは、家で話すよ。おいで、帰ろう。」

「……帰る?」

「あぁ、そうさ。私たちは家族だからね。」





そう言って、夏油は彼女の頭を優しく撫でる。家族、それは今まで尽く裏切られてきた存在。彼女にとって憎くてたまらないものだろう。





「……家族は、嫌?」

「………嫌じゃないけど…………好きじゃない。」

「それを世間一般的には嫌というんだよ。……でもまぁ、嫌になるのも当然か………」

「……傑さんは、私を叩かない?」

「そんな事しないさ。」

「………無理やり抱いたり、とか。」

「……そんな事されたの?」

「母親がいない間に父親が村の人たちと。」





あの薄らハゲジジイ。もっとズタボロにすれば良かった。内心そんな悪態をつきムカつきながらも、「君の嫌がることは絶対にしないよ。」と、不安そうな表情をする彼女を安心させるように頭を優しく撫でて微笑んだ。





「そんな事をするのは、お行儀の悪い猿だけだ。」

「………そう。」

「……今はまだそれでもいいよ。少しずつ家族になろう。でも、これだけは約束する。君が嫌がることをする人間は誰一人いないよ。」

「……うん。」





家族。嫌いな言葉。でも、彼なら信じてもいいと思えた。

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まゆゆ - 続編ですか! これからも頑張ってください(≧▽≦) (2021年3月13日 20時) (レス) id: 65cce41a2e (このIDを非表示/違反報告)
低体温(プロフ) - 更新される度読むのが楽しみです!!更新頑張ってください!! (2021年3月6日 4時) (レス) id: df64c86b58 (このIDを非表示/違反報告)
ぬっさっさ - めっちゃ好きです!!更新頑張ってください! (2021年2月24日 21時) (レス) id: 092bd421d4 (このIDを非表示/違反報告)
雪マカロン - 面白いです!更新頑張ってください! (2021年2月23日 16時) (レス) id: c9091179e7 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - こういう系のお話めちゃめちゃ好きです! 推します! (2021年2月23日 15時) (レス) id: 70b578b6e8 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:花蛸花 | 作成日時:2021年2月23日 12時

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