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「げほっ……っ、……ヒュッ……」
「A……、!」
伏黒はその場に座り込み上手く呼吸の出来ていない彼女の元に駆け寄ると、ゆっくり背中をさする。
「ご、五条さん、!いくらなんでもやりすぎだって、!」
「部外者は黙ってろ。」
「悟、これに関しては黙って見ていられないぞ。」
「あ"?」
「家入さん!紙袋か何かありませんか!!」
「まて、今持ってく。」
そんな2人の会話が耳に入り、ハッと我に返る。ゆっくりと足元に視線を落とすと、上手く呼吸が出来ずにヒューヒューと喉を鳴らすAの姿があった。
体を冷や汗が流れる。声が出ない。今自分は彼女に何をしたのか。記憶が巻き戻り、先ほどの場面で止まる。体術の稽古でもなんでもない。ただ彼女の頬を叩いて、乱暴に扱っただけだ。ヒュッと喉を冷たい風が通り抜ける。
「虎杖、汗ふくからタオル持ってきてくれ。そっちの棚にある。」
「う、うっす!」
「五条、お前は一旦外に出ろ。夏油連れてけ。」
「あぁ。」
夏油に腕を引かれて、反対側の出入口から外へと出る。
「はぁ………悟、お前も落ち着け。」
「どうしよう………ぼ、ぼく……Aに手上げちゃった……!」
「……やってしまった事は仕方ない。時間は元には戻らないんだ。今はあの子が落ち着くのを待つんだ。話はそれからだよ。」
「……どうしよう……あいつの母親と同じこと………」
怖がられたらどうしよう、拒絶されたら?どうすればいい。そんな考えが頭をぐるぐる回る。
「……母親と同じじゃないよ。あれはあの子のためを思ってのことだ。Aが自分を大事にしなかったから、それに悟は怒ったんだろ?で、気づいたら手が出てた。どっちもどっちの結果だ。」
「うん………」
「……お前のそのカッとなったら手が出るの何とかしろ。昔にも同じことがあったじゃないか。お前が一方的にキレてたら話せるもんも話せない。次は落ち着いて話をしろ。」
「……あぁ。」
大きく深呼吸をして、共有スペースのソファーにドカッと座り力なく項垂れる。
「……このまま終わっちゃったらどうしよう。僕、死ぬかもしれない。」
「お前たちがこの程度のことで終わるとも思えないけどね。」
親子の絆。二人のそれは何よりも固く結ばれ、決して離れることは無い。それは今まで近くで見てきた夏油達が一番よく知っている。
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emma(プロフ) - 初めまして!この作品が大好きです!結婚で騒ぐけどバージンロードきめきめで歩いちゃう悟パパも、なんなら妊娠で絶望するけど孫にデレデレになっちゃう悟じいじも見たいです!!笑 (2021年7月10日 23時) (レス) id: 4643ab1372 (このIDを非表示/違反報告)
朱夏(プロフ) - 初めまして!初めてコンメントさせていただきます!この作品ほんとに大好きで、特に伏黒くんとくっつくところはもう死ぬくらい好きでしょうがないんですよね!だから結婚後まで書いて欲しいです!いくら長くても付き合います!主様が良ければ書いて欲しいです! (2021年7月10日 22時) (レス) id: c2a1b68a40 (このIDを非表示/違反報告)
shinox2(プロフ) - 結婚まで続けて欲しいです! (2021年7月10日 22時) (レス) id: 947326f28f (このIDを非表示/違反報告)
かれ(プロフ) - 初めまして,いつも楽しく拝見させていただいています。個人的にはこのまま伏黒との結婚まで続いてほしいなぁという思いです。作者さんの作品は誰も死んだらしないので悲しむこともなく安心して読めます。これからも無理のない程度に投稿してもらえたら嬉しいです。 (2021年7月10日 22時) (レス) id: 0a939cc9b5 (このIDを非表示/違反報告)
らっかせい - 続いて欲しいですわー!!いつも観てますーー!!お久しぶりですーー!!(語順逆で.すいません) (2021年7月10日 21時) (レス) id: ac50ef14ea (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:花蛸花 | 作成日時:2021年6月12日 2時