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しかし、飽くまで冷静に。彼の挑発に乗るまいと冷静を装って口を開いた。
「………つまり、何が言いたい。」
「いいや?何も?……ただ、"出来損ない"ほど反抗したがるものやなと思って。」
その時、彼女の中でプツンッと何かが切れた。
「………………禪院直哉。」
「はいはい、なんでっしゃろ〜?」
「………………………………僕は忠告した。しかし、お前は自分の立場を理解していないようだ。」
「は?なんのこ……っ!!!」
思いっきり横腹を蹴り飛ばされ、地に伏した直哉の胸を圧迫するように踏み付ける。その首元には、刀身がむき出しの凍薙があった。
「ぐっ……!」
「離反者であれ、僕の兄を侮辱することは許さない。口の利き方には気をつけろ。……お前の目の前にいるのは誰だ。」
やばい、完全にキレてる。そう思ったが誰も止めようとしない。昭義も、弟を侮辱されて悔しくないはずもないのだ。このまま放っておこうと、助ける気は一ミリもない。
「このっ……ぐっぁ……!」
「……もう一度聞く。お前の目の前にいるのは誰だ?……己の立場をよく理解してからものをいえ……分を弁えろ。」
また更に体重をかければ、更に苦しそうな声が聞こえる。直哉もすぐに抜け出せばいいものの、下手なことをすれば術式を発動されかねない。
そもそも、抜け出そうなんて考えは彼女には通用しないのだが。
「そこまでだ。」
「……夜蛾先生……」
そんな中、彼女を止めたのは夜蛾で、その後ろには楽巌寺が立っていた。
「……凍氷、そいつがどんな無礼を働いたかは知らんが、凍薙を納めてくれんか。」
「………楽巌寺学長。困りますよ。こういったら輩を入学させてもらっては。しっかり礼儀を叩き込んでからにしてください。」
彼女は直哉の胸元から足を離し、凍薙の刀身に布を巻いた。その間にも、ニッコリと貼り付けたような笑みを浮かべていた。
「ゲホッ……くそっ……この
「やめんか禪院。」
「………禪院家は我が一族に恩があるのを忘れずに。今回のことは直毘人さんにも報告させてもらう。さっさと下がれ下郎が。」
「……チッ……はいはい、凍氷様。」
直哉は嫌味ったらしくそう吐き捨てると、訓練場を後にした。
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moo(プロフ) - まさかの展開に驚きました!幸せ家族で良かったです! (8月9日 3時) (レス) @page46 id: e3fdbdb203 (このIDを非表示/違反報告)
43yomi1(プロフ) - いきなりすみません…すっごく面白くて、楽しませて貰ってます!!応援してます!!更新頑張って下さい! (2021年3月3日 9時) (レス) id: 674eb44c7b (このIDを非表示/違反報告)
レナ(プロフ) - 多分ですけど上の連中が練習になってます! (2021年2月26日 23時) (レス) id: 46e621c864 (このIDを非表示/違反報告)
Tyina(プロフ) - 花蛸花さん» わざわざありがとうございます!そのお話、楽しみにしてます!! (2021年2月26日 0時) (レス) id: 7eae784acc (このIDを非表示/違反報告)
Tyina(プロフ) - あの、質問なんですけど、いつ美々子と菜々子を助けたんですか?最新読んで「その話あったかな……?」と思ってしまいまして……夏油さん推しなのでみんなハッピー状態なのがすっごい見てて幸せになりました!! (2021年2月25日 22時) (レス) id: 7eae784acc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:花蛸花 | 作成日時:2021年2月22日 2時