"マトモ"に見えるだけかもしれない。【呪術廻戦】 (ページ41)

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｢う"わ"ぁ"ぁぁぁあああああ！！！姉さんが人のものに"ぃ"いいいいいい！！！！！｣

｢新年早々なんという悲劇……腹を切って詫びなさい。｣

｢殺す気じゃん。｣

年明け後、Aの実家に2人揃って挨拶に行けば中々のカオス状態だ。雅志は二人を止める様子もなく、ただ笑っているだけだ。

｢いや……姉さんが人のものになった世界線とか夢でしかないのかも知れません……僕が腹を切ればいいのでは………？｣

｢落ち着きなさい太輔。短刀を仕舞いなさい。｣

Aは、全く……とため息をつきながら太輔が抜いた短剣をさやへと収める。その様子に、昭義もまたため息をつく。

｢やめろお前ら。……せっかく挨拶来てくれたのに悪いな。｣

｢……予想はしてましたし。｣

｢でも、良かったわ～Aにも春が来て♡ね、あなた♡｣

｢……んー………夏油くん。｣

｢は、はい。｣

｢君は、相当な覚悟を持って娘と交際しているんだよね。｣

｢……覚悟……？｣

誠一郎｢娘の力はご存知の通り、1000年来の実力者だ。故に、この家の跡取りとなる。｣

…あ、とつい声が漏れる。そこでやっと重大さに気がついた。彼はすっかり忘れていたのだ、彼女がこの家の跡取りだということを。

｢……まさか、忘れてたの？｣

｢いや…………はい。｣

｢………呆れた男だよ。｣

｢いや、なんというか………一人の女性としてずっと見ていたから忘れていて………｣

｢………君ねぇ………｣

｢あ、お前死んだ。｣

｢………あ。｣

によによと笑う雅志の横で、ガチ勢の弟二人がわなわなと震えていた。

｢ふ、ふ、ふしだらなぁ！！！！｣

｢切腹を要求します。｣

｢お前らは黙ってろアホが。｣

昭義の拳骨が頭に落ちてくると、二人はその場に頭を抑えながら倒れ込んだ。

｢娘にはもちろん幸せになって欲しい。家柄は問わぬ。もちろん好きな人と交際してほしい。しかし、それなりに実力のある術師の人間でないと困る。これは、いつの時代も、どうしても変わりないものだ。｣

｢……では、私は彼女の婿にふさわしい実力がありますでしょうか。｣

｢………それは、そういう意味として受け取っても？｣

｢はい。私は何時でも婿に入る意思です。跡取り娘の婿。上等です。もし実力が足りないとあれば、認められるまで努力するまでです。｣

｢……傑……｣

まさかそこまで覚悟があったとは思っていなくて、Aはぎゅっと胸を締め付けられる。