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「お前らいい加減にしないか。寿子も揶揄うのはよせ。……はぁ……すまないね。」
誠一郎は心底申し訳なさそうに夏油を見ると、小さく頭を下げた。
「いえ、私はなんとも……」
「なんかほんとごめん。」
「……うん。」
Aの言葉にも、もう否定することもやめた。下の子二人は要注意。これは絶対だ。
「さぁ、温かいうちにいただこう。」
誠一郎がそう言うと、「いただきます」と全員が手を合わせる。しかし、食べている気がしない。それはもちろん下の子たちからの視線である。
「お前ら夏油見すぎ。」
「花婿候補と聞いたので。」
「礼儀作法、身だしなみ、全て把握しておかねばなりませぬ故。」
そう言って、太輔はギラギラと光る目で夏油を凝視していた。自分よりもずっと年下の男の子に品定めされる日が来るなんて思ってもいなかっただろう。そんな二人に、昭義は小さくため息をつく。
「お前らの礼儀作法から叩き直してやろうか。」
「A、最近仕事どう?」
「すごく忙しい。でも最近は傑と同じ任務が多いね。」
「あ、あぁ、そうだね。」
「へぇ、Aはいつもどんな感じなんだ?」
彼女の奥からひょっこり顔を出す雅志と目が合う。やはりそっくりだ。
「正直私いらないんじゃないかなって思ってます。すごく強いので、援護くらいしか。」
「そんなことないよ。行きも帰りも、君と話してると退屈しないからね!」
「……そうかぁ。」
嬉しい。でもそれを1ミリでも顔に出したらいけない気がする。いや絶対ダメだ。
「夏油くんはなんの術式を使うの?」
「呪霊操術です。確か、昭義さんも同じだとAが……」
「A"さん"ですよ!!」
「聖志、やめなさい。」
Aが彼にそう言うと、彼ははい!!!と元気よく返事をして座り直した。
「話の腰を折るなバカ。……確かに、俺は呪霊操術を使う。でもまぁ、呪霊の味は分からんがね。激マズなんだろ?」
「はい。こればっかりはどうしようもありません。」
「俺は味覚がねぇわけじゃないんだけどなぁ……不味くなれば不味くなるほど味覚がなくなる。ま、天与呪縛的な?」
「天与呪縛……」
「そ、味覚が鈍い代わりに、クソほど顔がいい。」
「兄さん?」
「…………味覚が鈍い代わりに、クソほど呪霊を取り込める。」
あ、この人とてもAに弱いんだな。と夏油は思った。そして自分の顔に自信のある五条タイプだ。
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moo(プロフ) - 面白かったです! (8月9日 2時) (レス) @page47 id: e3fdbdb203 (このIDを非表示/違反報告)
雪マカロン - これからも、更新頑張ってください! (2021年2月16日 8時) (レス) id: c9091179e7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:花蛸花 | 作成日時:2021年2月15日 22時