・25 ページ25
｢うん！今日のは当たりだね！見て見て傑！｣
｢はいはい、見てるよ。｣
久しぶりの当たりに大興奮のAを夏油は可愛いなぁ〜と眺めていた。呪霊の事はちょっと分からないが、喜び方が幼女なので良しとしよう。
｢うん！よく撮れてる！今度カメラ買おうかな〜｣
｢カメラ持って任務するの？｣
｢あぁ〜……確かにちょっと厳しいところがあるね。｣
｢ちょっと所じゃないけどね。｣
｢さ、帰ろう！迎えの車が来るはずだから。｣
｢本当に良かったのかい？久しぶりの家族団欒だろう？｣
｢いいんだよ。僕もたまたま近くだから寄るだけだし。｣
夏油はAの実家で一晩お世話になることになったが、弟くん達が怖いなぁ〜……と少し苦笑いをする。
｢あ、来た。｣
そう言ってAが目を向けた方には真っ黒い車が止まっていた。しかし、夏油はそれをじっと見つめたあと、ギョッとした。あたりは当たり前にも暗いが、ランプで何となくわかった。
｢べ、ベンツ……｣
｢ん？あぁ、昭義兄さんの車だよ。｣
そうだ、彼女も金持ちの家の人間だった……と思い出していると、運転席から男の人がおりてくる。
｢遅いよ、昭義兄さん。｣
｢来てやったんだから、文句言うな。｣
タバコの火を消しながらそういう彼は、やはりどことなく彼女に似ていた。
｢こんばんは。｣
｢こんばんは。夏油……だったよな？任務お疲れ様。｣
｢今日はお世話になります。｣
｢家で母さんが使用人達と大量に飯作って待ってるってさ。さっさと帰ろうぜ。｣
｢ほら、乗れよ。｣と後部座席の扉を開けるが、夏油は車の乗り方を忘れてしまったかのようにカチコチだ。見たところ、2年前に発売された最新型のSクラス。新車相場はだいたい1292万。
｢ははっ、そんな緊張しなくてもいいだろ。｣
ほら、乗れ乗れ。と背中を押す昭義に、夏油は大人しく車に乗る。落ち着かない。落ち着かなさすぎる。普通の一般家庭の出である夏油には拷問に近い。
汚したらどうしようか………そんな不安ばかりが頭をよぎる。
｢……ﾁｯ……またこの車に女乗せたな。｣
｢さっきまで乗ってた。｣
｢香水くせぇ……｣
兄の前だからか、いつもよりも砕けた口調。鼻をつまんで、パタパタと手で仰ぐ。
｢ごめんね傑。この人クズだから。｣
｢うるせぇよ。｣
｢私は全然大丈夫だよ。｣
いや、実際結構きついわけだが。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1255人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「呪術廻戦」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
moo(プロフ) - 面白かったです！ (8月9日 2時) (
レス) @page47 id: e3fdbdb203 (このIDを非表示/違反報告)
雪マカロン - これからも、更新頑張ってください！ (2021年2月16日 8時) (レス) id: c9091179e7 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：花蛸花
| 作成日時：2021年2月15日 22時
