"マトモ"に見えるだけかもしれない。【呪術廻戦】 (ページ12)

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｢あ？表出ろや。｣

｢ははっ、一人で行きな？寂しんぼかい？｣

喧嘩。そんなのいつもの事だ。特にこの二人の喧嘩は。5分ほど前、二人の意見が食い違い喧嘩になった。いつもの喧嘩なら九分九厘で五条が悪いが、今回はどっちもどっち。どちらも意見を譲らなかった結果だ。

｢やめろお前ら。｣

｢うるせぇ引っ込んでろ！｣

｢硝子は黙っててくれ。｣

家入が止めても聞く耳持たない。今にも教室を吹っ飛ばしそうな睨み合いを始める二人。そんな中、ガンッ！とものすごい音がしたかと思えば、鈍い音を立てて天井に机がぶつかる。ガランガランッ…と机は床に落ち、机の引き出し部分はへこんでいた。高く挙がっているAの足は振り下ろされ、ドンッ！と音を立てた。

いつもと違う雰囲気に、背筋が凍る。

｢……テメェらいつまでもくだらねぇ喧嘩してんじゃねぇ。聞いてるこっちの身にもなってみろよ。｣

｢｢ﾋｭｯ……｣｣

睨まれた二人の喉が音を立てる。息が詰まるとはこういうことだ。いつもより低い声。きっと、無理やり起こされて機嫌が悪い時より低いだろう。これは相当お怒りだ。

A｢関係ない硝子に八つ当たりしてどういう神経してんだ。こちとらテメェらの喧嘩なんざどーでもいいんだよ。ガキみてぇな喧嘩しやがって……テメェらの喧嘩はテメェらでカタつけろ。他人を巻き込んでんじゃねぇ、やんなら表出てやれよ。｣

｢えーと……A……？｣

｢……行くぞ。こいつらはほっとけ。｣

｢あ、お、おう。｣

｢次教室に戻ってくるまでにそのくだらねぇ喧嘩にケリつけとけよ。さもねぇと殺す。｣

言うだけ言ったAは硝子の腕を引いて教室を出ていった。静かな教室に残されたふたりは時が止まったかのように動かなかった。

｢……い、まの…A…だった………よな？｣

｢………あ、あぁ………｣

｢………………くっそこぇぇ………………｣

｢………………初めて怒られた…………かなりショック……………｣

二人はやっと身体が動いたかと思うと、ｶﾞｸﾝｯとその場に座り込んだ。