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『ひぃ……あ"ぁ"……っ、も、むり………何回する、き…………い"………』
聞こえてくる彼女の声に、事務所内の空気はどん底まで落ちていた。気まずい。そう、気まずいのだ。色々と聞いてはいけない声を聞いているような気がする。
「……Aちゃんってやっぱり人妻感あるよねぇ……」
「太宰くん今の発言撤回しなさい。まさか君僕の妹をそんな目で見ていたんですか?底辺の人間だとは常々思っていましたがうら若き高校生の少女にそんな目を向けるほど腐った人間だとは思いませんでした。」
「一言発しただけでそんな倍になって帰ってくるとは思わなかったよ。」
お巫山戯をしているのは太宰だけ。坂口は心底気まずそうだし、中島と谷崎は顔を真っ赤にしてうつ伏せ、国木田は無表情のまま宮沢の耳を押さえている。江戸川はいつも通り菓子を頬張っていた。
気が付けばその声は止んだ。声が止んだ数秒後、勢いよく事務所の扉が開かれて、彼女が倒れ込むように事務所に入ってくる。
「くっ……なんなんですかこの探偵社は……荒療治にも程がありすぎる……あの程度の怪我なら普通に治療すればいいでしょう……!?」
「探偵社ではあれが普通だからねぇ。怪我には気を付けるんだよ。」
ぷるぷると震える腕で身体を支え、起き上がろうとする彼女に太宰が手を貸してソファに座らせた。ぐったりとしているAに水を差し出し「大丈夫?」と泉が声を掛ける。
「何も大丈夫じゃありません……」
「あんた
「やりませんよ……!!」
Aはもううんざりだ、とでも言いたげに水を飲み干し、一息ついた。「何回だ」国木田がそう聞いた。それだけでなんの回数を聞かれているのか理解した。Aは右手を広げてそれを前に突きだす。
「……五回。」
探偵社員が哀れみの目を向けてくる。初めての解体でその回数を耐え抜いた彼女に賞賛を送りたい。然し、そんな暇は無い。坂口がゆっくりと息を吐きながら、彼女の隣に座ると、彼女の身体を強く抱き締めた。
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眠いちゃん - 続き楽しみにしてます! (2023年3月3日 14時) (レス) id: acdc06f415 (このIDを非表示/違反報告)
猫(プロフ) - 面白いです!続き待ってます! (2023年2月3日 5時) (レス) id: 846f3d2d4a (このIDを非表示/違反報告)
零 - とても話がわかりやすく面白いです!!続き待ってます!! (2023年1月7日 23時) (レス) @page28 id: d9cbcf96d1 (このIDを非表示/違反報告)
かな(プロフ) - 面白いです‼︎応援してます (2022年12月27日 15時) (レス) @page28 id: a32747b1ee (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:花蛸花 | 作成日時:2022年5月29日 16時