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果物の沢山乗った甘い西洋菓子。最初の一口を食べて、Aは矢張り顔を顰めた。然しそれも一瞬で、「美味しい?」と尋ねるエリスに「美味しいですよ」と笑顔を向ける。その後もまた西洋菓子を口にする。甘いものが苦手という訳では無いらしいが、それにしても様子が可笑しいと感じる部分がある。最初の一口以降は平然と食べている。





「普段は甘いものは余り食さぬのかえ?」

「……そうですね。卡路里オーバーする可能性があるので、余り多くは頂きません。」

「卡路里ィ?その体型でんなもん気にしてんのか。」

「これ、あまりデリケェトな部分に触れるものではない。この娘は随分と自分にストイックな性格のようじゃからの。」





そう言って尾崎は紅茶を啜った。





「じゃあ、このクッキーを食べるといいわ!低糖質、低卡路里だってリンタロウが言ってた!」

「リンタロウ………?」

「鴎外殿の事じゃ。」

「はあ………」





何故リンタロウなのだろうか。その真相は聞かないことにして「では、いただきます」とそのクッキーを摘んだ。低卡路里だと言っても菓子は菓子。食べ過ぎはあまり良くないからと、彼女は二枚ほど摘んだきりそれに手は付けなかった。





「ねえ、どうしてAはポートマフィアの勧誘を断るの?リンタロウが直接お願いするんだから、貴方の待遇はすっごくいいと思うのに。」





そう言ってエリスは西洋菓子を口にした。子供の割に言うことが大人びている。まぁ当たり前か。彼女はそう思ったが、口にはしなかった。太宰からのタレコミによって、彼女が森の異能であることは把握済みである。然しそれを態々言うつもりもない。





「……まぁ、確かにそうでしょうね。私は探偵社に今のところ愛着はまだ無いのでなんとも言えませんが、一応探偵社所属なので、敵組織に寝返るというのはあまり気乗りしません。」

「では、探偵社を辞めれば此方に来る気はある、ということかえ?」

「まぁ、そうとも言えますね。然し、私はこの異能を好きになるという条件で探偵社への入社を決断したので。ポートマフィアでこの異能を好きになる機会が訪れることは無さそうですし。」





そう言って彼女はにこりと笑顔を貼り付けた。彼女は確かに光の中の住人だ。それは紛れもない事実だろう。然し、その笑顔の裏に見せるのは、そこはかとない、底知れぬほどの闇だった。

暗く、光ることもない、漆黒のよう。

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眠いちゃん - 続き楽しみにしてます! (2023年3月3日 14時) (レス) id: acdc06f415 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 面白いです!続き待ってます! (2023年2月3日 5時) (レス) id: 846f3d2d4a (このIDを非表示/違反報告)
- とても話がわかりやすく面白いです!!続き待ってます!! (2023年1月7日 23時) (レス) @page28 id: d9cbcf96d1 (このIDを非表示/違反報告)
かな(プロフ) - 面白いです‼︎応援してます (2022年12月27日 15時) (レス) @page28 id: a32747b1ee (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:花蛸花 | 作成日時:2022年5月29日 16時

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