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その日、やはり坂口は帰らなかった。当たり前だ。Aが攫われた件に関する報告書を纏めなければならない。Aは本来なら監視対象の身だ。それが何故こんな風に自由な行動を取れているのかと言うと、凡ては坂口という存在があったからこそである。

Aは二三日学校を休む事になった。荷物も無いため、それは致し方のない事だろう。無事だったのは制服の衣嚢に入っていた携帯のみ。授業内容に問題は無いが、生徒会の仕事を放棄してしまった事が心残りではある。然し、これは緊急事態。やむを得ない。Aはスーツに身を包み、少し早めに家を出た。何処かで朝食でも摂ろうかな。そう考えながら歩いていると「おい」と誰かが彼女を呼び止めた。

何処かで聞いたことのある声だ。そう思って振り返ると、黒い帽子を被った小さな男がそこにいた。





「………貴方は………中原さん、でしたか。」

「あぁ、そうだ。手前の荷物を届けに来てやったんだよ。」





そう言った中原の手には、Aの通学鞄が握られていた。





「それは、態々どうも。それが無いせいで此方は大変不便でしたよ。」

「嫌味な女だな……んな事言ったら、手前のせいで首領執務室の窓の修繕に幾らかかったと思ってやがる。」

「自業自得では?」





Aはそう言って中原に近づくと、その荷物を受け取って中身を確認した。以前ほどの警戒心はない。





「随分と余裕だな嬢ちゃん。」

「えぇ。貴方の異能力は把握しましたので。」

「またハッキングか?」

「いえ、太宰さんに。」





太宰の名前を出した途端、中原は舌打ちをした。





「……まぁ、手荒な事して連れてったのは悪かったと思ってる。だから今日は招待状を持ってきた。」

「………………はぁ?」






Aが首を傾げる。マフィアに招待状?そんなものあってたまるか。然し、中原は本当に招待状らしき白い封筒を取り出した。





「紅葉の姐さんがお前を気に入ったらしい。エリス嬢も手前と話せなかったと騒いでしょうがねぇんだ。今から着いてきてくれ。」

「それ招待状の意味ありますか?招待状ってそういうものでしたっけ?」

「まぁ、いいじゃねぇか。エリス嬢のお遊びに付き合ってやってくれ。」





そう言って差し出された封筒を、Aは少し警戒しながら受け取った。

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眠いちゃん - 続き楽しみにしてます! (2023年3月3日 14時) (レス) id: acdc06f415 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 面白いです!続き待ってます! (2023年2月3日 5時) (レス) id: 846f3d2d4a (このIDを非表示/違反報告)
- とても話がわかりやすく面白いです!!続き待ってます!! (2023年1月7日 23時) (レス) @page28 id: d9cbcf96d1 (このIDを非表示/違反報告)
かな(プロフ) - 面白いです‼︎応援してます (2022年12月27日 15時) (レス) @page28 id: a32747b1ee (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:花蛸花 | 作成日時:2022年5月29日 16時

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