・41 ページ41
「いやぁ〜すまないねぇ。わざわざ来てもらったのにお待たせしてしまって。」
「来てもらった、ではなく無理矢理連れてきたの間違いでは?残念ですね、手元に携帯があれば迷いなく軍警に通報してました。」
彼女が眼鏡を押し上げながらそう言うと、「酷いなぁ〜」なんて男が笑う。
「A、また会ったわね!」
「えぇ、そうですね。」
「エリスちゃん、大事な話があるからお絵描きでもしててね。彼女にはまた今度遊んでもらおう。」
また今度があってたまるか。そう言ってやりたいのをぐっと堪える。エリスは素直に彼女から離れると、執務室を出ていった。
「却説……改めて、私はポートマフィア首領、森鴎外と言うんだ。宜しくね、坂口Aくん。」
「宜しくしたくないですね。それより、私の荷物を返していただけると幸いです。学校の行事で使うプリントや貴重品も入っていますので。」
「貴重品とはこれかな?」
ごとりと音を立て、森の執務机に置かれたのは一丁の銃。その型には確かに見覚えがあった。Aが眉を顰める。
「……レディの手荷物を漁るのはどうかと思いますね。サニタリーグッズ等のデリケートな物も入ってるんですけど。それだから先程の女の子にも煙たがられるのでは?」
「君って結構辛辣って言われない?」
「御想像におまかせします。」
この状況で森にそんな態度を取って、何時殺されるかなんて分かったもんじゃない。やっぱり面白い女だと、中原は口角をあげる。無論、森がその程度で彼女を殺さないことも分かっている。
「まぁ、それは申し訳ないと思っているよ。然しねぇ、危険物の確認のため致し方なかったんだ。現に、こんなものが君の鞄から出てきているわけだ。普通の女子高生の鞄からね。探偵社の調査員だとは聞いていたけど、こんな物騒な物を学校にまで持って行っているのかい?」
「何があるか分からないので。貴方方のように通学中を狙ってくる輩もいるので。お陰で学校は無断欠席、成績に響いたらどう責任を取っていただけるので?」
「おやおや、ここに来てまで学校の心配かい?随分と余裕なお嬢さんだ。」
森がくつくつと笑う。その様子に、Aは舌打ちが出そうな思いをグッと堪えている。
187人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「文豪ストレイドッグス」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
琉亜 - うち的にはもうちょい安吾との絡み見せて頂きたい (2023年2月23日 23時) (レス) @page7 id: 5309fc8273 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:花蛸花 | 作成日時:2022年4月29日 1時