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手に取ったカルテに先程のテストの結果を書き加えたあと、ペンを胸ポケットに戻した。
「原因はストレスから来るものだろうな。任務も最近多かったから、眼を使う機会も多かったんだろ。今日一日安静にしておけば明日からは体を動かしてもいいけど、程々にね。」
「あぁ、ありがとう。」
「これに関してはきみの父親とも相談しないとな。夏油、あっちで話そう。」
「あぁ。」
夏油は家入に連れられて医務室を出る。その空間にはAと真希だけが残されて、シンッと静まり返った。なぜだか気まずくなったAは、真希ちゃん…?とぼんやりと見える彼女に声をかけた。
「………心配した。」
「…………ごめん。」
「………ごめんで済むと、思ってんじゃねーよ、」
少し震える声でそう言った彼女の表情は見えない。見えないけれど、なんとなく想像ができた。彼女の手を引いて膝の上に抱えると優しく抱きしめた。
「………泣かないでよ。キミらしくないね、このくらいのことで泣くなんて。」
「このくらいの事じゃねーよ……てか、泣いてない。」
「………どうしたら許してくれる?」
「………もうちょいこのまま。」
そう言って真希は彼に抱きつくと、ぐりぐりと首元に額を押し付けた。
「……ただでさえ危険な仕事してんのに………目見えなくなるとかシャレになんねー……眼の使いすぎで死ぬとかだせぇ死に方絶対すんなよ……っ、」
「………ごめんね、気をつけるよ。…大丈夫、真希ちゃんを置いて死んだりしないから。」
「………言ったぞ。もし死んだら呪ってやる。」
「ふふ、真希ちゃんになら喜んで呪われるよ。」
すりっ、と彼女の頭に頬を寄せて擦り寄る。
「……私がこんなになるなんてお前だけなんだからな。死なれたら、誰に甘えろってんだよ。」
「……そうだね。真希ちゃんのために長生きするよ。」
「…………ん。」
真希は安心したのか、小さく頷いたあとしばらく動かなくなった。かと思うと、すよすよと小さな寝息が聞こえてくる。
やれやれ…と小さくため息を着いた後、自分が今まで寝ていたベットに横にする。これは当分死ねないな…と、少し嬉しそうに笑いながらまたため息をついた。
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魔灯 - 任務代わってくれる棘君優しいな 真希ちゃんと夢主君幸せになってくれー! (2021年9月5日 17時) (レス) id: 43f1bbcd44 (このIDを非表示/違反報告)
魔朝@Bsc(プロフ) - 幸穂ちゃんマジかぁ.............実幸ちゃん達も辛いやろなぁ..........夢主くんがこの一件をきっかけに大量虐殺とかおかさなきゃいいけど......とめて夏油さん!! (2021年6月22日 20時) (レス) id: 9bfc59222b (このIDを非表示/違反報告)
都和(プロフ) - ここで辛い展開やってくると思わなかった、、、頑張れ息子くん! (2021年6月22日 15時) (レス) id: a33a5cff70 (このIDを非表示/違反報告)
shinox2(プロフ) - 真希ちゃんが男前過ぎて……(泣)逆にかっこいい (2021年6月18日 16時) (レス) id: 947326f28f (このIDを非表示/違反報告)
M(プロフ) - ついに息子くんと真希ちゃんがッ!!!!!!!!嬉しい!!幸せ!!トキメキと癒しをありがとうございます!!今夜はお赤飯でお祝いしようと思います!!!!!!笑 (2021年6月9日 18時) (レス) id: addf3f5d58 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:花蛸花 | 作成日時:2021年6月6日 1時