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｢貴方たちが二人でいるのは驚きですね。いつの間に仲直りを？｣
黒い武装をした集団の中から一人、スーツを着た男＿＿＿坂口安吾＿＿＿が現れた。
｢やぁ安吾！この通り、仲睦まじい兄妹だよ。｣
｢仲睦まじい事何一つしてないのによく言えたねそれ。で、安吾さんは何か用？こんな人気のない場所で囲ったりして。お茶会へのお誘いかな？｣
｢そんな呑気なものじゃありませんよ。森Aさん、ご同行願えますか？｣
坂口は眼鏡のブリッジを上げながらそう言った。
｢貴方は数年前お亡くなりになった実母の異能を譲渡され、現在二つの異能を所有している。｣
｢詰まり、元々目を付けられて居たのが余計に目を付けられるようになった……という訳か。｣
｢話が早くて助かります。｣
坂口は手錠を取り出すと、少し複雑そうな面持ちでそれを彼女へと向けた。然し、彼女はそれに反抗するかのように両手を上へとあげる。
｢まぁまぁ落ち着いて！安吾さん、取引をしよう！｣
｢取引……？｣
彼女が服の内側へと手をやると、黒い装備の男たちの警戒が高まる。然し、その懐から出てきたのは小さなUSBだった。
｢異能者改造研究会の機密情報だよ。研究の内容、実験体、その他諸々の情報が記されたものだ。特務課に出向いたところで、酷い扱いはされないだろうけど、如何せん私は療養中の身でね。これで勘弁して貰えないかな？｣
彼女はにっこりと笑みを浮かべた。坂口は、また何時ものやつかとため息をついている。
｢貴方のこの用意周到さ、毎度の事ながら恐れ入りますよ。誰に似たのやら。｣
｢さぁ誰でしょう。｣
坂口はそのUSBを受け取ると、また小さく息を吐いて踵を返す。
｢引き上げます。｣
その言葉を合図に、黒い武装の集団は坂口の後に続いて行った。
｢A、あの尾行を知ってて態と路地裏に入ったね。｣
｢もちろん。｣
｢にしても、良かったのかい？あの情報を渡してしまって。｣
｢良いよ。これで暫くは特務課も私に手を出してこないはずだ。私の情報だけ抜いてあるからね。｣
｢それはそれは………恐ろしい子だね、君は。｣
｢知らなかったの？｣
彼女はケラケラと笑いながら踵を返し、軽い足取りで歩いていく。その後を追うように、太宰はその長い足で彼女の隣に立った。
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作者名：花蛸花
| 作成日時：2022年3月31日 8時
