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「おい、大丈夫か!!無理に身体を起こすんじゃねぇ……!座ってろ、!女医、直ぐに治療を……!!」

「必要ない……」





自身の身体を支えてくれていた中原を押し退けて、彼女は一点を見詰めた。轟々と音を立てて燃え盛る研究所では無い。森の奥だ。見詰める、と言うより、睨みつけるの方が正しいかもしれない。





「いやぁ、驚いた。その怪我であんな無茶をするなんてね。それで生きているんだから大したものだ。やはりお前は最高傑作だよ。」





頬や衣服には少し煤がついている。その男はにんまりと笑みを浮かべて手を叩いている。





「手前ェ……!」

「これはこれは、皆さんお揃いで何より。生きていたんですね。重畳重畳。」

「………まさか生きてるとは私も、思わなかったね、……さっきの爆破で……吹き飛ばされて、おけば……良かったものを………」





襟衣(シャツ)の袖で口元の血を乱暴に拭う。





「………お前は私が殺す。」

「何故そんなに私に執着するんだろうな。私はお前の父親だと言うのに。そうだろう弥佳。」

「何度も言わせるな……私はAだ。弥佳じゃない。そして、お前は私の父親じゃない。私の父親は、森鴎外だ……!」





彼女は先程箱から掏っておいた短刀(ナイフ)を手に地面を蹴った。





「ほう………その怪我でまだ動くか。」

「A、辞めるんだ!!!」





そう叫んだのは太宰だった。然し、それを止めたのは、江戸川だった。





「乱歩さん………なんでここに……」

「そろそろかと思って出てきた。あの子を止めちゃダメだよ。これは彼女の弔いだ。」

「弔い……?」

「………この実験最初の犠牲者は彼女の母親だった。」





怪我のせいで動きが鈍り、いつもの動きが出来ず手こずっている彼女を前に、江戸川はそう言った。雅彦は彼女と同じ施術を受けている。それも彼女よりも数段階上の実験だ。重症の彼女が短刀一本で太刀打ち出来るはずもない。

江戸川は言葉を続けた。





「彼女の母親とあの男が出会ったのは、あの男が異能技師として駆け出しの頃だった。あの男の異能力は他人の異能力がどんなものかを見るもの。あの男は母親の異能力に目をつけたんだ。そして母親に近付き、交際の後結婚。母親はあの男に相当入れ込んでたんだろう。実験体になる事を快く引き受けてしまったんだ。然し、待っていたのは地獄のような日々だった。」

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かが(プロフ) - とっっっても感動しました!今まで見てきた小説の中で1番好きです!父親を倒した辺りからあまりの感動に涙がでました😭それぐらい素晴らしい文才をもっているなんて羨ましいです!これからも投稿頑張ってください!応援してます!☺️ (2023年2月4日 20時) (レス) @page32 id: 04a276ffbb (このIDを非表示/違反報告)
なぴあ - 太宰さんと夢主の掛け合いが大好きです!!!何故太宰さんと同じ事をする夢主ちゃん? 過去編も読ませていただいてます!! 投稿頑張って下さい!! (2022年3月29日 17時) (レス) @page36 id: bc58708f8e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:花蛸花 | 作成日時:2022年3月21日 11時

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