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「Aさん、ナオミは学校の友達とは話が合わない事が多いんです。職場がこんなですし……決して、上手くやれてないわけじゃないんです。寧ろ仲良くやれてて……だけど、やっぱり何処か遠慮気味で……でも、あの日貴方と出掛けた時、凄く楽しそうでした。貴方になら、他の子とは出来ない親密な話も出来るみたいなんです。」
谷崎のそれは、可愛く愛おしい妹を思っての言葉だった。あぁ、兄だな。少し納得してしまった。過去のあの男、太宰と自分の姿を思い浮かべてみる。彼は何かと自分を気にかけ、誰にも見せないような優しい笑みを浮かべ、自分の成長を見守ってくれていた。そんな記憶が、今になって思い返される。
「……何度も言いますが、私はポートマフィアです。いつ探偵社とぶつかる事になるかなんて分からない。貴方のお兄さんを殺しうる人物なのですよ?」
「それがなんですの?私は構いませんわ!お互いがお互いの正義のために戦った結果でしょう?私達が敵対する組織だから友達にはなれないなんて、誰が決めましたの?貴方は、常識に囚われすぎですわ!私は、貴方が兄様を殺したら、確かに恨むかもしれない。それはその日が来ないと分かりません。でも、きっと、友達であることに変わりはありませんわ。」
「それに、兄様は危険を承知でこの探偵社に居るんですもの!それを支えるのも私の仕事ですわ!」彼女は笑った。こんなにも前向きで、強かな子だったのか。この数分で、彼女はナオミについてしれた気がした。
友達。その言葉がすとんと心に落ちてくる。
「……はぁ……貴方には負けました。いいですよ。お友達になりましょう。」
「本当ですか!?」
「えぇ、勿論。折角の同い歳。歳頃の女の子の遊びとやら、教えて頂けますか。」
「是非!!じゃあ、Aさんのこと、その…Aってお呼びしても宜しい……?」
ナオミはここに来て遠慮気味だ。あれだけぐいぐい来ていたというのに、今さら遠慮する必要も無いだろう。Aは少し笑いながら口を開いた。
「貴方の好きに呼びなさいよ、ナオミ。」
彼女が名前を呼ぶと、ナオミは嬉しそうに笑った。
「そうするわ!A!」
美少女が二人、にこにこと微笑み合う。あ、これ眼福では???谷崎はその光景を見ながら、なるほどこれが眼福か、と納得してしまった。
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かが(プロフ) - とっっっても感動しました!今まで見てきた小説の中で1番好きです!父親を倒した辺りからあまりの感動に涙がでました😭それぐらい素晴らしい文才をもっているなんて羨ましいです!これからも投稿頑張ってください!応援してます!☺️ (2023年2月4日 20時) (レス) @page32 id: 04a276ffbb (このIDを非表示/違反報告)
なぴあ - 太宰さんと夢主の掛け合いが大好きです!!!何故太宰さんと同じ事をする夢主ちゃん? 過去編も読ませていただいてます!! 投稿頑張って下さい!! (2022年3月29日 17時) (レス) @page36 id: bc58708f8e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:花蛸花 | 作成日時:2022年3月21日 11時