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雅彦が地に倒れる頃には、彼女の周辺もあらかた片付いていた。彼女は刀を手に、雅彦に近寄る。げほげほと咳き込むと、口の端から血が垂れ流れる。
「A、それ以上動くでない!」
尾崎の言葉に耳も貸さぬまま、彼女は雅彦の前で足を止めた。そのとき、周りにいた彼らにもハッキリとその目が見えた。深紅に輝いていた双眼のうち、左目が翡翠色に変色していた。
「何故だ………なぜ、………!なぜ私が………!」
「それは努力の差だよ。」
草を蹴り、砂を踏む音が聞こえた。その声にA以外の全員が振り向くと、そこには、森と福沢の姿があった。
「森、鴎外………」
「神無月雅彦殿。貴方は確かに強い。彼女をここまで圧倒出来る人間は稀だ。然し、所詮はそれだけだ。」
森は迷うことなく、彼女を自分の背に隠すように、彼女の前に立った。
「高い身体能力。それは確かに武力となる。然しそれをどうするかによってまた変わってくる。彼女はその身体能力こそ高けれど、初めからこんなに強かったわけじゃない。身体能力だけではいけない、それを活かすための技術が必要なのだと、毎日毎日訓練に励んだ。初めのうちは怪我ばかりだった。然し、彼女は飲み込みも早くてね。どんどん強くなり、やがてポートマフィア切っての武器使いになった。自分の弱点を自力で見いだし、それを補うだけの武力を手に入れた。
彼女は自分の力でこの強さを手に入れた。貴方が与えた力は、その踏み台にしかならない。貴方の敗因は、その踏み台を使わなかったことだ。」
彼女は唯の少女だった。銃の扱いこそ知れど、今のように沢山の武器を扱い、使いこなせるほどの技術は持っていなかった。そのために訓練を重ねてきた。ある日、手に豆ができた。ある日、傷ができて、それでも訓練を辞めなかった時は、中原にきつく叱られた。彼女の強さは産まれ持った物でも、作られたものでも無く、努力で成り立っている。凡ては、ポートマフィアの為に。
「彼女に負けた原因はそれだ。そして、貴方は今から私に負ける。」
森は懐から
「私は、彼女に産みの親を殺させるほど酷な男じゃない。だから彼女の代わりに私が貴方を闇に葬ろう。私にはその権利がある。」
森の持った手術刃が雅彦の首へと宛がわれた。
「貴方の敗因は、私の
手術刃が引かれ、血が吹き出した。
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かが(プロフ) - とっっっても感動しました!今まで見てきた小説の中で1番好きです!父親を倒した辺りからあまりの感動に涙がでました😭それぐらい素晴らしい文才をもっているなんて羨ましいです!これからも投稿頑張ってください!応援してます!☺️ (2023年2月4日 20時) (レス) @page32 id: 04a276ffbb (このIDを非表示/違反報告)
なぴあ - 太宰さんと夢主の掛け合いが大好きです!!!何故太宰さんと同じ事をする夢主ちゃん? 過去編も読ませていただいてます!! 投稿頑張って下さい!! (2022年3月29日 17時) (レス) @page36 id: bc58708f8e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:花蛸花 | 作成日時:2022年3月21日 11時