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彼女の攻撃を躱しはすれど、先程よりも的確なその攻撃は確実に当たっている。雅彦は歯を食いしばった。





「何故だ……実験に成功すれば単純な力技にだって対抗出来る力を手に入れられる……!お前は何故それを望まない!!!」

「そんなもの……私には必要ないからだ……!私には、……それを覆すだけの、技術がある……!!」

「そんなものは唯の戯言だ!!!」





素早い長物の一瞬の隙をつき、雅彦の手が彼女の首を絞めた。彼女の首を絞めた腕は上へと上がり、彼女の足はぶらりと垂れ下がる。呼吸ができない。然し、苦しいと感じるほどではない。あぁ、人間とは呼べないな。そんなことを考えてしまうのは、呑気すぎるのだろうか。





「その怪我では、どんなにお前が強かろうと無意味だ。実験に参加すると一言いえばいい。でなければその炎の中にお前を投げ込むぞ!!」





轟々と燃え続ける炎。それに近づけばじりじりと暑さが迫ってくる。誰かが彼女の名前を叫んだ。





「お前をここで焼き殺す代わり、犠牲となるのはお前の部下だ。」

「……!貴様……!」

「親に向かって何だその口の聞き方は!!」





雅彦はその時、初めて顔色を変えて、さらに彼女の首を絞めるその手に力を込めた。ギリギリと首が締まる。怪我も相まってか、いつもならあるはずの無い苦しさが込み上げてくる。感じない訳では無い。感じにくいだけだ。普通の人間なら、苦しさで意識を朦朧とさせていただろう。

自分の代わりに部下が犠牲になる。こちらを伺いながらも、向かってくる敵を薙ぎ倒していく部下達に目を向ける。永井はまだ幼い子供だ。慣れない短刀を使ってナオミ達のそばで戦っていく。彼らをこの実験の餌食にさせる訳には行かない。ここは一先ず頷こう。そう思った時、いつの日かの記憶が頭を駆け巡る。

それは、母と娘の最後の記憶(・・・・・・・・)





『弥佳、私はもう長くは無いかもしれない。』

『ながくはない……?なにが長くないの、、、?』

『貴方は賢い。何れこの言葉の意味を理解する日が来るでしょう。だからね、貴方におまじないを教えるわ。私の___を授けます。』

『おかあさまの……?』

『えぇ、そうよ。これはいつか、きっと貴方を助けてくれる。今から教えるこの言葉をどうか忘れないで。この言葉を唱えれば、私の___は貴方のものとなります。

その言葉は_____』





「『汝、翠眼の夜叉よ、今我にその力を与えたまへ____』」

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かが(プロフ) - とっっっても感動しました!今まで見てきた小説の中で1番好きです!父親を倒した辺りからあまりの感動に涙がでました😭それぐらい素晴らしい文才をもっているなんて羨ましいです!これからも投稿頑張ってください!応援してます!☺️ (2023年2月4日 20時) (レス) @page32 id: 04a276ffbb (このIDを非表示/違反報告)
なぴあ - 太宰さんと夢主の掛け合いが大好きです!!!何故太宰さんと同じ事をする夢主ちゃん? 過去編も読ませていただいてます!! 投稿頑張って下さい!! (2022年3月29日 17時) (レス) @page36 id: bc58708f8e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:花蛸花 | 作成日時:2022年3月21日 11時

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