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「どう、息抜き出来てる?」

「まぁね。」




箱の中身を出して、夏油と二人でそれを並べる。中身は聡がゴルフなどで貰ったトロフィーや、過去に貰った祖母の社交ダンス大会の賞状や夏油の中学時代の賞状などだ。





「朝はおじいちゃんと散歩に行って、その後はおばあちゃんと一緒に朝食を作る。庭の手入れを手伝ったり、掃除や洗濯をして、トランプやカルタをして、たまに課題や生徒会の仕事をするんだ。」

「ははっ、随分満喫してるね。」

「うん……自分が普通の子供なんじゃないかと思うくらいには。」

「…Aは普通の子供だよ。呪術(ちから)をもって生まれただけ。」





賞状を棚に並べて、ふぅ…と一息つく。





「………A。 確かにAは普通とは少し違う。でも、まだ遅くない。これからも普通の中学生としての生活を送っていきたいなら、術師をやめてもいい。今ならまだ引き返せる。」





空になったダンボールを潰しながら、夏油はそう言った。祖父母はそんな彼らの会話が聞こえていないのか、あれはこう、これはこう、と本の整理をしていた。

元々、これはただの息抜きとして提案したものではなかった。Aへの選択だった。普通の子供と同じような生活。いい高校へ行き、大学に進学していい企業に務める。充実した人生。きっと術師なんかよりずっと安全だ。

普通を取るか、術師を取るか。





「……確かに、普通の生活も楽しい。でも、なんだか足りないんだ。術師として任務をして、この呪術(ちから)を有効に使う。……そんな生活をしていた方が性にあってる。」

「………いいんだね、それで。」

「……うん。」

「……まだAは子供だ。これから選択のチャンスはいくらでもある。辞めたくなるまでやればいいよ。」

「そんな日、来ないかもね。」





何故そんなに呪術界に執着するのか。いや、これは執着とは少し違うだろう。

非術師を守る。それが当たり前だった。しかし今はそれではなく、与えられたその力を有効に使い、呪いを祓い、大切なものを守る考えにシフトチェンジしたんだろう。





「………頼りにしてるよ。若き天才術師。」

「なにそれ。」

「知らない?Aがそう呼ばれてるの。」

「知らないよ。」

「知らないか〜」

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零落(プロフ) - 久々に占ツクに戻ってきたら超良作に出会って、一気に最新話まで読んでしまいました。話の途中で何度も笑ってしまったり、感動したり…もう最高です!素敵な作品をありがとうございます。これからも更新楽しみにしております。 (2021年6月4日 6時) (レス) id: 35493f6139 (このIDを非表示/違反報告)
方言男子 - やべ、性癖に刺さった (2021年5月26日 18時) (レス) id: b75236f17d (このIDを非表示/違反報告)
海洋生物(プロフ) - 続編おめでとうございます!成長した夢主くんかっけぇ!あと面白い!これからも頑張ってください! (2021年5月25日 7時) (レス) id: c21e60aa61 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:花蛸花 | 作成日時:2021年5月25日 5時

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