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「これ、ここに置いていい?」
「えぇ、ありがとう。」
5日目の昼。軽く模様替えをしたいという祖母の願いを聞きいて、中身の入っていない棚を動かしそれをゆっくりと下におろす。さほど重たくはないが、祖父母には少々辛い作業だろう。
「ほんと、助かるわ〜!模様替えしようにも、私もお父さんももう歳だから……あなた達みたいに鍛えてるわけでもないし。」
「聞こえてるぞ〜」
「ふふっ、ごめんなさい。」
「このくらいなんて事ないんだ、連絡をくれればいつでも手伝いに来るよ。」
「ほんと、頼もしくなったわね〜」
ありがとう、と優しく頭を撫でられる。それがなんだか照れくさくて、顔を背け首の後ろを撫でる。思春期だろうかと美代子はそれを見て少し微笑んだ。反応の仕方が親子でそっくりだ。
まぁ彼の父親も、祖父からそれを受け継いでいる訳だが。
「A、悪いがこっち手伝ってくれ。」
「私が運ぶからおじいちゃん本棚に本しまってよ。」
「私をなめるなよ〜?これでも、ゴルフコンペでは何度も優勝してきたんだからな!」
「ゴルフ、あんまり関係ないと思うけど……」
そんな会話をしていると、ガチャッと玄関の方から音が聞こえた。
「ただいま〜様子見に……って、何してるの?」
「あら、男手が増えたわ。」
「父さんいいところに来たね。おじいちゃんがぎっくり腰になる前にこの棚動かすの手伝ってよ。」
「こらこら、私はまだピンピンしてるぞ。」
ほんとかなぁ?なんて笑うAに、聡は小さくため息をついた。
「模様替えしてたのよ。」
「あぁ、なるほど……父さん、私が変わるから本でもしまってて。」
「親子で全く同じことを言うんだなお前たちは……」
それがなんだかおかしくて、聡も美代子もくすくすと笑いながら二人仲良く本棚の整理を始めた。夏油とAは少し重ための棚を持ち上げる。
「母さん、ここでいいかい?」
「えぇ、大丈夫よ。ありがとう。そこにダンボールあるでしょ?あの中身をそこに並べてくれる?」
「あぁ、わかった。A、持ってきて。」
「ん。」
Aは一つ一つが重たいダンボールを3つ積上げて軽々と持ち上げる。それを見た聡は、大したもんだなぁ…と感心してしまう。
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零落(プロフ) - 久々に占ツクに戻ってきたら超良作に出会って、一気に最新話まで読んでしまいました。話の途中で何度も笑ってしまったり、感動したり…もう最高です!素敵な作品をありがとうございます。これからも更新楽しみにしております。 (2021年6月4日 6時) (レス) id: 35493f6139 (このIDを非表示/違反報告)
方言男子 - やべ、性癖に刺さった (2021年5月26日 18時) (レス) id: b75236f17d (このIDを非表示/違反報告)
海洋生物(プロフ) - 続編おめでとうございます!成長した夢主くんかっけぇ!あと面白い!これからも頑張ってください! (2021年5月25日 7時) (レス) id: c21e60aa61 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:花蛸花 | 作成日時:2021年5月25日 5時