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ビザールに呼ばれたであろうフロイドがちょうどいいところに駆けつけ、既に血まみれの拳を握ろうとする彼女を後から優しく抱きしめると、その大きな右手で目元を覆う。





「シクリッドちゃん、落ち着いてごらん?」

「グルルルルル……」





優しく声をかけても唸り続け、今にもフロイドの手にその鋭い牙で噛みつきそうだ。





「俺に噛み付いていいと思ってんの?」





フロイドの低い声にAの唸り声がピタッと止まった。しかし、警戒は決して緩めない。





「………シクリッドちゃんは賢いもんね。あんな雑魚たちと違って賢いから、噛み付いたらダメな相手くらい分かるよね?」





あの二人の娘とはいえまだ子供。学園を卒業し、もう既に立派な魔法士となったフロイドにAが敵うはずもないのだ。Aももちろんそれを分かっては居るはずだが、アドレナリンが出っぱなしで本能的に獣の部分が出てしまっている状態では何一つ効果はない。





「グルルルルル……!!」

「……しかたねーな。ちょっとだけ寝ててね?」






そう言ってフロイドが彼女の目から手を離すと、彼女の身体がグラッと傾く。





「おっと……はぁーぁ、さすがあの二人の子供だよねぇ。血の気多い。ねぇ?金魚くん。」

「感心してる場合ですか……!?」

「こちらの方々どうします?」

「お前の好きにしてどうぞ。」

「ふふっ、アズールったら。僕達はもう学生じゃないんですから派手な真似はできませんよ。でもまぁ……そうですね……しばらくすればレオナさん達がこちらに来られるんですしそのまま突き出すのもいいですね。」

「それがいい!王姪殿下に傷をつけたなんて……どんな代償が待っているのやら。」





彼らの言葉に、生徒3人はサーッと血の気が引く。





「さぁ、野次馬の皆さんも賭け事なんてしてないで授業に行きなさい。」

「フロイドさん、そのまま保健室に連れていってください!クルーウェル先生が準備をして待ってくれているそうです。」

「りょうか〜い。」





"ほんと、お母さんより世話焼けるよね。"なんて呑気なことを考えながら、Aを姫抱きにして保健室に向かう。

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パンの耳だけ捨てました - 一気読みしてしまいました!ほかの作品も見てみようと思います。てかストーリー作り上手すぎないですか...! (2021年10月2日 11時) (レス) @page31 id: 3542138bb7 (このIDを非表示/違反報告)
アネモネ(プロフ) - めっちゃ良い作品!!作者なんていう人だろ!!って調べたら花蛸花さんだった………ていうことが最近頻発してます(笑)花蛸花のペースで、更新頑張ってください。他の作品も応援しています! (2021年6月14日 17時) (レス) id: 3b50ba95a6 (このIDを非表示/違反報告)
グリノワ(プロフ) - 花蛸花さん» でもご安心を!(?)お気に入りと高評価はもちろんのことさせていただきますので! (2021年1月16日 17時) (レス) id: 99844850a9 (このIDを非表示/違反報告)
グリノワ(プロフ) - 花蛸花さん» はい、でもどうやらフレンドの上限がダメなようで少し残念ですが... (2021年1月16日 7時) (レス) id: 99844850a9 (このIDを非表示/違反報告)
グリノワ(プロフ) - 花蛸花さん» あの、すごく好きです!ゲームID登録とこの作品のお気に入りと高評価させてもらってもよろしいでしょうか? (2021年1月16日 7時) (レス) id: 99844850a9 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:花蛸花 | 作成日時:2020年11月6日 0時

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