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「どこ行ってた。」
「……ごめんなさい。」
家に入ると、Aの父であろう男がソファーに足を組みながら座っていた。テレビからはアナウンサーの今話題の商品!なんて明るい声が聞こえるのとは対照的に、リビングの雰囲気は最悪だった。
まさか帰っているとは思わなくて、玄関を開けた時血の気が引いた。車が車庫になかったので、きっと部下にでも遅らせたのだろう。
「犬の散歩なんてくだらねぇことしてる暇あったらとっとと飯の準備しろ。役に立たねぇガキだな。誰のおかげで食っていけてると思ってんだ?」
「……ごめんなさい、すぐ支度します。」
頭を深々と下げるAの隣で、レオは歯をむき出し低い声で唸っていた。その視線の先には、理不尽にもAを叱る父親の姿があった。
「ちっ……馬鹿犬のしつけも出来ねぇのかてめぇは!」
父親が投げたコップが床で粉々になり、鋭い音が響く。こちらに飛んでこないだけまだマシかもしれない。
「す、すぐ部屋に連れていきます……!」
「ほら、行くよ。」レオのリードを引いて、2階にある自室へと向かう。家が無駄に広いこともあり、それなりに広い部屋を与えてもらっているため、その部屋でレオの面倒を見ていた。
水を容器に入れてやると、レオはそれをゆっくりと飲みはじめる。
「……さっきはごめんね。庇ってくれてありがとう。」
優しく頭を撫でてやると、レオは嬉しそうにしっぽを振った。レオはどうにも父親の事を好きになれないらしい。兄の知り合いのブリーダーからレオを引き取った時も父は猛反対だったが、兄と二人で頭を下げて何とか許可を貰ったのを今でも覚えている。
"「俺はあんまり家にいてやれねぇからさ。これからはこいつがお前を守ってくれる。きっとお前の一番の理解者になってくれるぞ。あ、違ぇわ二番だわ!俺が一番のお前の理解者だからな!?」"
「お前には渡さねぇぞ!?」なんて、まだ離乳食にもなっていないような、産まれたばかりのレオに謎の対抗心を向けていた兄。その数ヶ月後に、兄は何者かによって殺されてしまったが。
兄の代わりに、一番に彼女を支えてくれたのはレオだった。唯一の家族と言っても過言ではないのかもしれない。
「後でご飯持ってくるからね。」
そう言い残して、自室を出る。硝子を片付ける前に夕飯の支度をしないとまた叱られる。Aは、少し駆け足気味に階段をおりた。
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かのん - 竜ちゃんの心の声が荒れてて面白過ぎるwww (2022年1月15日 12時) (レス) @page47 id: 23ecb5b22b (このIDを非表示/違反報告)
やまだ(プロフ) - あれれ?竜胆さんしれっと春千夜がヤク中ってバラしちゃったよ?((゜ㅇ゜)??? アレェ?竜胆さん? (2021年10月16日 3時) (レス) @page47 id: 4fca3f24b6 (このIDを非表示/違反報告)
ゆぽぽ(プロフ) - 蘭さん好きぃぃぃぃ!!!!そして竜胆面白すぎるw w w (2021年10月14日 20時) (レス) @page43 id: 908e4168b8 (このIDを非表示/違反報告)
shinox2(プロフ) - 竜胆の心の声が面白すぎますwwwwww (2021年10月14日 15時) (レス) @page43 id: 947326f28f (このIDを非表示/違反報告)
絶狼(ゼロ)(プロフ) - 面白いですゲラゲラ笑ってしまいました。最新では思わず竜胆ォォォwwwwwwと変な声が出てしまいましたこれからも頑張ってください応援してます (2021年10月14日 14時) (レス) @page43 id: 1a90028617 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:花蛸花 | 作成日時:2021年9月26日 3時