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レオはというと、Aの足元で大人しく待てをしていたかと思うと、伸びた腕に顎を乗せて寝ていたり、話に耳を傾けるように耳を動かしてみたり。こちらも見ていて飽きない。
「Aちゃんも大変なんだな〜部活は?」
「部活はしてないです!うち、お母さんがいないので家のことは私がやるんです!」
「父親は何してんの?」
「……お父さんはお仕事が忙しくて。」
父親の名前を出すと、彼女は眉を下げて笑った。明らかに落ちた声のトーンに、まずい話題だったかな、と柄にもなく焦ってしまう。しかし、彼女はそんな空気を壊していくかのように話題を変えた。
「蘭さんは、御家族仲はいい方なんですか?」
「うちは父親も母親もいねぇからな〜でも双子の弟はいる〜」
「じゃあ、蘭さんお兄ちゃんなんですね!」
「そうなの〜蘭ちゃん実はお兄ちゃんなんだよ♡いつか気が向いたら連れてきてやるな〜」
「はい!楽しみにしてます!レオも楽しみだよね〜?」
彼女がそう語りかけると、レオは顔を上げて短く返事をする。
「そーだ、連絡先交換しねぇ?せっかくだしさ。」
「いいですよ!」
「え、いいの?」
「?…はい!」
仮にも今日初めて会った男、それも本当にサラリーマンかどうかも定かではない風貌の男に簡単に連絡先を教えるのはどうかと思ってしまうのが本音だ。初めて会った男とこんな時間に長々と話してサラリーマンという嘘を鵜呑みにしている可能性のある彼女なら、連絡先を交換するくらい有り得てしまうわけだが。
「……Aちゃん、他のやつに連絡先交換しようって言われても簡単に教えちゃダメだよ?」
「?はい!教えてませんよ!蘭さんいい人ですし、いいかなって!」
眩しいほどの笑顔を向けられて、嘘をついていることへの罪悪感が蘭を襲う。騙してんだよなぁ、俺反社なんだよなぁ、もし危険な目に合わせちまったらどうしよう。今になって突然そんな不安。今までそんなこと考えたこともなかったはずだったのに。
それでも、この時間を手放すなんて絶対に嫌で、蘭はAと連絡先を交換した。
「そろそろ帰っか〜家まで送ってってやるよ。」
「え、悪いですよ…!」
「いーっていーって。つっても車だから、レオにはちょーっと我慢してもらわねぇとだけど、大丈夫〜?」
レオの顔を覗き込むようにして見ると、レオは少し首を傾げたあと小さく吠える。危機感がないのは飼い主に似ているのだろうか。
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かのん - 竜ちゃんの心の声が荒れてて面白過ぎるwww (2022年1月15日 12時) (レス) @page47 id: 23ecb5b22b (このIDを非表示/違反報告)
やまだ(プロフ) - あれれ?竜胆さんしれっと春千夜がヤク中ってバラしちゃったよ?((゜ㅇ゜)??? アレェ?竜胆さん? (2021年10月16日 3時) (レス) @page47 id: 4fca3f24b6 (このIDを非表示/違反報告)
ゆぽぽ(プロフ) - 蘭さん好きぃぃぃぃ!!!!そして竜胆面白すぎるw w w (2021年10月14日 20時) (レス) @page43 id: 908e4168b8 (このIDを非表示/違反報告)
shinox2(プロフ) - 竜胆の心の声が面白すぎますwwwwww (2021年10月14日 15時) (レス) @page43 id: 947326f28f (このIDを非表示/違反報告)
絶狼(ゼロ)(プロフ) - 面白いですゲラゲラ笑ってしまいました。最新では思わず竜胆ォォォwwwwwwと変な声が出てしまいましたこれからも頑張ってください応援してます (2021年10月14日 14時) (レス) @page43 id: 1a90028617 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:花蛸花 | 作成日時:2021年9月26日 3時