自称・サラリーマン(反社)とJK【東リべ】

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兄が送り迎え？なんだそれ幻覚か？以前も同じようなことを話したかもしれないが、兄は極度の面倒くさがりというか、気分屋だ。女の送り迎えなんて面倒なこと真っ平御免だし、気が向いても絶対にしたくない。

好きでもない女と何故ヤ る事と仕事以外で同じ時間を共有しなければならないのか。鬱陶しいだけだろう、と笑いながら言って退けるのが灰谷蘭である。｢夜道は危ないから｣なんて、世間の女なら泣いて喜ぶそのセリフも言ったことがない。目の前の彼女を除いて。

話だって丁寧に聞くどころか酷い時は全く聞いていないし、竜胆に｢今日何時から？｣とつい先程聞いたことを丸々聞き返す。相談なんてしてみたところでまともな返事はまず帰ってこない。｢ん〜ムカつくなら殺せば良くない？｣がデフォルトだ。それにより九井と鶴蝶が胃を痛める。蘭が自分からプライベートの話や身の上話をするなんてとんでもない。天地がひっくりかえってもありえないだろう。

つまり何が言いたいのかと言うと、彼女と出会ったことにより天と地がひっくり返ったと言うことだ。実際にひっくり返った訳では無い。ものの例えである。






｢……随分優しくされてんね。ちょっとびっくり。｣

｢え、そうなんですか……？｣

｢結構暴君気質なところあるからな、兄貴。家事なんてやったことねぇし、全部俺に押し付けちまう。ま、頼り甲斐のある兄貴だとは思うけど、生活力はまず無いよな。｣





応援するとは言ったが株を下げてやろうと企んでいないとは言っていない。少しでも幻滅してくれ頼むという願いを込めて、ほんの少し、ほんの少しだけ兄の悪い面を彼女に話した。





｢三途にすぐ喧嘩ふっかけるのは俺も同じなんだけど、ガキみたいなウザ絡みしに行くし、すぐ煽るし。大人の男〜って雰囲気出してっけど、あれでいて結構子供っぽいところあんだよ。この前も三途の薬をラムネに変えて遊んでた。｣

｢仲良しなんですね。｣





そう言って、彼女は小さく笑った。なぜだか違和感を感じた。しかし、竜胆はそんなこと気にもとめずに、｢巻き込まれる方はたまったもんじゃねぇよ。｣と笑い返した。





｢やっぱり、おふたりって兄弟なんですね。私の知らないお話沢山知ってますもん。｣

｢そりゃそうだよ。産まれた時から何するにも一緒だったからな。｣






そう、産まれた時からずっと一緒。だからこそ、兄の無茶振りにも慣れているし、それを捌けるのも自分だけだと思っている。実際本当のことだ。

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