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「Aちゃんこんばんは〜」
後ろからそう声をかけると、少し驚いたようにビクッと肩を揺らした。小動物みたいで可愛いな、なんて頬が緩む。
「ら、蘭さん……!びっくりしたぁ……」
「あは、ごめん♡今日は会わせたい奴いんだよね。」
「はい、、?」
Aは蘭の奥にいる人物に目をやると、首を傾げる。長い白髪にチャイナ服。一瞬誰かと思ったが、左耳で揺れるピアスとその切れ長の目を見てハッキリとわかった。
「………ココくん!?」
「久しぶりだな。」
「良かったな〜気づいてもらえて♡」
「うるせぇ。」
九井はギロリと蘭の方を睨むと、Aに見えないように彼の足を思いっきり踏みつけた。顔を歪ませてとんとんと爪先を地面に叩きつける様子にしてやったり顔で笑う。
「え、……!?ココくん、なんで!?」
「こいつと知り合いなんだよ。仕事関係で。」
「そうなの!?じゃあ、ココくんもサラリーマン……?」
「あー、うん、そうだな。」
「……スーツじゃなくていいの?」
「俺基本在宅ワークだからな。」
「なるほど……」と納得してしまう彼女に、少しは疑えよ、と心の中でツッコんでおく。どうやらサラリーマンというのを信じているのは本当のようだ。こんなチャイナ服着たサラリーマン居てたまるか。
「蘭さん、ココくんとも知り合いだったんですね!」
「まぁね〜この前話し聞いた時もしかしてと思ってさ〜」
「でも、ココくん今海外にいるって青宗くんが……」
「あー、まぁ、色々あるんだよ。イヌピー達には俺の事内緒にしててくれよ?」
「う、うん……?」
喧嘩でもしたのだろうか。Aはそう思って、小さく頷いた。佐野といい九井といい、なにか事情があるのは察せるものの、何がそうさせているのかは全く分からない。ただ、無闇に聞くものでもないのかもしれないと、何も聞かなかった。
「顔見れたから帰るわ。まだ仕事残ってるし。」
「まだ終わってねーの?」
「誰のせいだと思ってんだ。」
灰谷兄弟がスクラップにしてしまった高級車の始末書に、三途の薬代。やることは山ほどあるが、彼女に一目会いたくて仕事の合間を縫ってやってきたのだ。
「じゃあな、A。困ったことあったら連絡しろ。」
ここに来る前に一枚だけ用意した偽装名刺。連絡先と名前だけが本物のその名刺を渡して、「こいつに変な真似したら殺す」と蘭にだけ聞こえる声で呟きその場を後にした。
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かのん - 竜ちゃんの心の声が荒れてて面白過ぎるwww (2022年1月15日 12時) (レス) @page47 id: 23ecb5b22b (このIDを非表示/違反報告)
やまだ(プロフ) - あれれ?竜胆さんしれっと春千夜がヤク中ってバラしちゃったよ?((゜ㅇ゜)??? アレェ?竜胆さん? (2021年10月16日 3時) (レス) @page47 id: 4fca3f24b6 (このIDを非表示/違反報告)
ゆぽぽ(プロフ) - 蘭さん好きぃぃぃぃ!!!!そして竜胆面白すぎるw w w (2021年10月14日 20時) (レス) @page43 id: 908e4168b8 (このIDを非表示/違反報告)
shinox2(プロフ) - 竜胆の心の声が面白すぎますwwwwww (2021年10月14日 15時) (レス) @page43 id: 947326f28f (このIDを非表示/違反報告)
絶狼(ゼロ)(プロフ) - 面白いですゲラゲラ笑ってしまいました。最新では思わず竜胆ォォォwwwwwwと変な声が出てしまいましたこれからも頑張ってください応援してます (2021年10月14日 14時) (レス) @page43 id: 1a90028617 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:花蛸花 | 作成日時:2021年9月26日 3時