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防波堤の傍にバイクを停めると、Aはきらきらと目を輝かせて海を眺めていた。海くらいでこんなに喜んでもらえるのか、と蘭は小さく笑った。
「嬉しいか〜?」
「はい!すっごく!」
「そりゃよかったわ。」
「海なんていつぶりだろ……兄に連れてきてもらったのが最後かもしれないです……!」
「言ってくれればいつでも連れてきてやるからな〜」
海に連れてくるくらい、蘭にとってはなんて事ない。むしろ頼られると余計に嬉しくなるし、二人の時間が出来ればその分心が浮かれてしまう。ガキの恋愛じゃあるまいし、なんて自分に言い聞かせるが、その気持ちはどうにも抑え込むことが出来なかった。
「そーいや、Aちゃんもう風呂入った?」
「入っちゃいました……なので家に帰ったらもう一回シャワー浴びます!」
「俺も一緒〜♡」
潮風で肌や髪がベタついてしまうのはどうにも仕方のない事だった。
「Aちゃんの兄ちゃんってどんな人?」
「え、私のお兄ちゃんですか……?どんな人……ん〜……周りの人にはシスコンってよく言われてました!喧嘩もすごく強くて……あ、黒龍って知ってます?」
「知ってる知ってる〜俺、だいたいその9〜10代目くらいの世代だからな〜」
「え、そうなんですか!?じゃあ、蘭さんも喧嘩したりするんですか……!?」
「ん〜……いや、……あー……まぁ、程々に♡」
ちょっと意外です、といったような顔をするAに、少し言葉を濁しながらそう言った。言えない。六本木仕切ってたとか言えないしなんなら少年院入ってたとか絶対言えない。
「で、その黒龍がどうしたって?」
「お兄ちゃん、黒龍の初代総長さんの代理やってたらしいんですよ!写真でしか見たことなかったけど、すっごくかっこよかったです!」
「へぇ〜」
「あ、でも10代目のみなさんもかっこよかったですよ!」
「……10代目?」
「はい!総長さんのつてで、乾さんって人と仲良くなって……その人とは今でもお友達なんですけどね!」
「へぇ〜……」
嫌な予感がする。背中をだらだらと冷や汗が流れ落ちていき、頬が引きつって仕方ない。
「それで、そのお友達の九井さんって人にも仲良くしていただいてたんですよ!」
あ、やっぱりね、うんうん、理解した。知ってたよ、うん。絶望するのと共に、知り合いが反社だらけの彼女が不憫で仕方なかった。その不憫を巻き起こしている原因の一人はこの男である。
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かのん - 竜ちゃんの心の声が荒れてて面白過ぎるwww (2022年1月15日 12時) (レス) @page47 id: 23ecb5b22b (このIDを非表示/違反報告)
やまだ(プロフ) - あれれ?竜胆さんしれっと春千夜がヤク中ってバラしちゃったよ?((゜ㅇ゜)??? アレェ?竜胆さん? (2021年10月16日 3時) (レス) @page47 id: 4fca3f24b6 (このIDを非表示/違反報告)
ゆぽぽ(プロフ) - 蘭さん好きぃぃぃぃ!!!!そして竜胆面白すぎるw w w (2021年10月14日 20時) (レス) @page43 id: 908e4168b8 (このIDを非表示/違反報告)
shinox2(プロフ) - 竜胆の心の声が面白すぎますwwwwww (2021年10月14日 15時) (レス) @page43 id: 947326f28f (このIDを非表示/違反報告)
絶狼(ゼロ)(プロフ) - 面白いですゲラゲラ笑ってしまいました。最新では思わず竜胆ォォォwwwwwwと変な声が出てしまいましたこれからも頑張ってください応援してます (2021年10月14日 14時) (レス) @page43 id: 1a90028617 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:花蛸花 | 作成日時:2021年9月26日 3時