おっかな妹-2【東リべ】

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気分が下がった、と一言残して教室をぬけた彼女は屋上に向かうと、ちょうど影になったところで居眠りをしていた。ぽかぽかしていてちょうどいい。そんなことを考えてすやすやと眠りこけていると、何やら揉めているような騒ぎ声に目を覚ます。スマホを見るとちょうど中休みだ。

せっかく人が気持ちよく寝てんのになんだよ、と小さく舌打ちをして声のした方を覗き込む。そこには、源本、と呼ばれた女子生徒と、いじめの主犯格であろう生徒とその取り巻きがいた。





｢地味子ぉ〜お前うざいんだよ。｣
｢朝は灰谷さんの機嫌損ねちゃうしさぁ？どうすんの？｣
｢殺されちゃったりしてぇ〜｣





ギャハギャハと下品な笑い声をあげる女たちに対し、彼女は何も言わずに俯いていた。





｢何とか言えよブス！！！！｣





主犯格の女はそばにあった机をがつんと蹴りつけた。それなりに大きな音に、Aはもう一つ舌打ちを漏らす。





｢さっきからごちゃごちゃとうっせぇんだよ、ブスはてめぇだわ。｣





後ろから聞こえてきた声にびくりと肩をふるわせた彼女らは、ぎぎぎ、と効果音がつきそうな動きで後ろを振り向いた。





｢は、はいたにさ、｣

｢あーあ、どーしてくれんの？せっかくいい気持ちで寝てたんにさぁ……｣

｢で、でも、この子が……｣

｢あん？なんて？あたしの機嫌を損ねたって話？あたしの気分下げたのてめぇらなんだわァ。クラスでちょーっとそれなりにはしゃいでるグループに入れたからって浮ついてんじゃねぇぞ。

おら、殺される前に行けやブス共。｣





彼女が睨みつけると、その生徒たちはいそいそと屋上を抜けていった。残されたのは、地味子とAの二人だけ。





｢ぁ、あ、ぁの、すみませ、…｣

｢あん？なんでお前が謝んの？｣

｢ぇ、あの……｣

｢あんたのちいせぇ声で起きたりしねーよ。それとも、殺されるかも〜ってやつ鵜呑みにした？｣

｢いや……｣

｢あっは♡女には手ぇ出さねぇよ♡多分♡｣





ぞわりと背筋が震える。ぺたり、ぺたりと彼女の上靴の音が響く。彼女が怯えているのもお構い無しに、Aはぐっと顔を近づける。





｢ひっ……｣

｢別に取って食わないって。｣

｢す、すみません……｣

｢…………眼鏡とって。｣

｢え、、？｣

｢は？｣

｢は、はい、、！｣





源本は震える手で眼鏡に触れると、そっとそれを外した。

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