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夏油が呪詛師として処刑対象になった。夜蛾からそう聞かされたのは、家入、五条と情報の回ったあとだった。
「ど、…ういう、ことですか…………?」
「……そのままの意味だ。」
夜蛾は眉を顰めてそう言った。悪い夢かと思った。しかし、ぞわぞわと肌が粟立つ感覚に夢じゃないと確信した。
いつから、なにが彼を追い詰めていたのか。なぜそれに気づけなかったのか。教師として、大人として、なんで。
「詳しくは資料を職員室に置いてある。」
「………五条たちは………」
「……もう伝えてある。」
「………そうですか。」
灰原は死に、夏油は離反した。伊地知は自分のせいだと今でも自分を責めている。五条は、家入は、今どうしているのか。自分の親友が自分たちを裏切ったのだ。苦しく辛い想いをしているに違いない。
生徒の青春を守る?笑わせるな。誰一人の青春だって守れていないじゃないか。
「………夜蛾"先生"。」
「………なんだ。」
「…………生徒を守るって………なんですか……?青春ってなんですか……?……青春なんて、守れないじゃないか……っ、」
ギリッと拳を強く握り締める。爪がくい込んで血が滲んだ。そんな彼女を見て、夜蛾は視線を下に向けて俯いた。
「………ここは、そういう世界だ。」
そうだ、ここはそういう世界。分かっていたはずじゃないか。いつ誰が死ぬかも、いつ誰がいなくなるかも分からないような世界。その世界の中で、何人の生徒の命が守れるのだろう。何人の生徒の青春を守れるんだろう。
自分がもっと、もっと強ければ良かったのか。もっと生徒と向き合っていれば良かったのか。考えても分かりやしない。
「…………私、教職向いてないっすよ。先生。」
苦しそうに眉を下げて笑う"生徒"に、夜蛾は何も言わずに頭を撫でた。
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三隣亡 - こういうの待ってました!!これからもよろしくおねがいします! (2021年7月14日 2時) (レス) id: 63aa19421a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:花蛸花 | 作成日時:2021年7月14日 0時