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任務の報告書、今回の任務で壊れた建物などの始末書をまとめる。これは徹夜コースかもなぁなんて思いながら、ベンチでタバコを吸う。夜も更けて時刻は深夜。ジメジメと暑いこの夏の夜はため息が出そうな程だ。
肺に深く煙を吸い込み、ゆっくりとそれをはき出す。
「……先生。」
そんな声に、思わず振り向く。こんな深夜に?まさか。そう思ったが、そこには五条が立っていた。
「五条。こんな時間に何してるんだ。」
「…………」
そう問いかけても、五条はただ黙っているだけだった。まぁそれもそうか、と彼女はため息をついて隣をぽんぽんと叩いた。
「煙たくていいならここに座りな。もう吸い終わるから。」
彼はまた少しの間があったあと、彼女の隣に座った。
「………俺がしくったんだ。」
聞こえるかどうか分からないほどの小さな声。彼女は深く息を吐いて口を開いた。
「………さっきも言ったけどね。今回は相手が悪かったんだ。私たちが君たちに託しすぎた。背負わせすぎたんだ。君たちの責任じゃない。」
ぐしゃぐしゃと灰皿にタバコを押し付けて、ベンチを立つ。寮まで送るよ。彼女がそう言うと、五条もゆっくりと立ち上がった。
少しも笑わないし、いつものような絡みもしてこない。これは相当キテる。そんなの見て明らかなものだが。
「今日はゆっくり休みなよ。」
「…………先生。」
「ん?」
「…………今日、一緒に居てよ。」
きゅっとスーツの袖口を掴まれる。振りほどこうにも振りほどけなくて、小さくため息をついた。
「君が眠るまでの間だけだよ。」
ぽんっと背中を押して五条を部屋の中へと押し込む。ベットに潜る五条に布団をかけて、ぽん、ぽん、と胸の辺りを叩いてやる。
「…………またガキ扱いかよ。」
「はいはい。」
「…………手。」
握れという事だろうか、と彼女は五条の手を握った。その手にすりすりと擦り寄ると、ゆっくりと目を瞑った。すやすやと寝息が聞こえた頃、弱まった手から抜け出して五条の部屋を出る。
「………おやすみ。」
扉の前で小さく呟いて、職員室へと戻った。
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三隣亡 - こういうの待ってました!!これからもよろしくおねがいします! (2021年7月14日 2時) (レス) id: 63aa19421a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:花蛸花 | 作成日時:2021年7月14日 0時