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泣き続けてどれくらいの時間が経ったのか。涙を拭い、もう一度封筒へと目をやる。
数年経って、やっと自分の元に回ってきた遺書。
「…………読みたくないなぁ…………」
それでも読まないと。腹を括り、封を開ける。震える手で中身を出して、それを開いた。
"愛するあなたへ"
"先に死んでしまったこと、許してください。"
"聞いているかも知れませんが、私は術師です。いつ死んでもおかしくないような仕事をしていました。
黙っていてすみません。"
"私のわがままなんです。それを話すとあなたが離れていくんじゃないかと思って。それだけあなたを愛していた。"
"初めてでした。こんなに人を愛したのは。"
"あなたは、来月誕生日でしたね。プレゼントを買ってあります。私がいつも使っていた一番奥の部屋。あの部屋のクローゼットを開けてみてください。あなたの好きな物を買ってあります。"
彼女は立ち上がると、覚束無い足取りでその部屋に向かった。彼が来なくなってからというもの、その部屋の掃除はすれど、クローゼットの中や引き出しの中を開けたことがなかった。
それを分かった上なのだろう。
「…………あ。」
少し大きな箱。それを開けると、中からは数年前に可愛いと言った覚えのあるくまのキャラクターのぬいぐるみだった。今となってはすっかり忘れていたが、当時の彼はそれを覚えていてくれたのだろう。
そのぬいぐるみを強く抱きしめながら、また遺書へと視線を落とす。
"直接渡せませんが、誕生日おめでとうございます。"
誕生日なんてとっくに過ぎてるし、直接言ってもらわないとその言葉はなんの意味もない。そこでまた、更に涙が流れてくる。
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モモ - 占ツクで初めて声にならない泣き方してしまったァァァァア!!!文面でだけでも明るくしないとやってらんないぃぃ!!最高でした!! (2022年8月2日 22時) (レス) @page25 id: 54acfceb29 (このIDを非表示/違反報告)
森 - あれ?目って蛇口でしたっけ?なんか水出てきた… (2022年2月21日 21時) (レス) @page5 id: d826e852a9 (このIDを非表示/違反報告)
ぱらぁ - 夜中にガチ泣きしましたよぉ (2022年1月1日 13時) (レス) @page25 id: 72348a8a16 (このIDを非表示/違反報告)
しぃはる - 魔朝@Bscさん» ホントにそれなです…( ; ; )ナイアガラの滝を軽く五つぐらいは作れそうですよね。←何言ってるんだろう私 (2021年7月4日 0時) (レス) id: 0f3d393f54 (このIDを非表示/違反報告)
魔朝@Bsc(プロフ) - 今なら涙で滝作れる。 (2021年6月28日 9時) (レス) id: 9bfc59222b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:花蛸花 | 作成日時:2021年6月28日 2時