検索窓
今日:4 hit、昨日:5 hit、合計:60,892 hit

・3 ページ3

泣き続けてどれくらいの時間が経ったのか。涙を拭い、もう一度封筒へと目をやる。

数年経って、やっと自分の元に回ってきた遺書。





「…………読みたくないなぁ…………」





それでも読まないと。腹を括り、封を開ける。震える手で中身を出して、それを開いた。





"愛するあなたへ"







"先に死んでしまったこと、許してください。"







"聞いているかも知れませんが、私は術師です。いつ死んでもおかしくないような仕事をしていました。

黙っていてすみません。"







"私のわがままなんです。それを話すとあなたが離れていくんじゃないかと思って。それだけあなたを愛していた。"







"初めてでした。こんなに人を愛したのは。"







"あなたは、来月誕生日でしたね。プレゼントを買ってあります。私がいつも使っていた一番奥の部屋。あの部屋のクローゼットを開けてみてください。あなたの好きな物を買ってあります。"







彼女は立ち上がると、覚束無い足取りでその部屋に向かった。彼が来なくなってからというもの、その部屋の掃除はすれど、クローゼットの中や引き出しの中を開けたことがなかった。

それを分かった上なのだろう。





「…………あ。」





少し大きな箱。それを開けると、中からは数年前に可愛いと言った覚えのあるくまのキャラクターのぬいぐるみだった。今となってはすっかり忘れていたが、当時の彼はそれを覚えていてくれたのだろう。

そのぬいぐるみを強く抱きしめながら、また遺書へと視線を落とす。







"直接渡せませんが、誕生日おめでとうございます。"








誕生日なんてとっくに過ぎてるし、直接言ってもらわないとその言葉はなんの意味もない。そこでまた、更に涙が流れてくる。

・4→←・2



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (266 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
348人がお気に入り
設定タグ:呪術廻戦 , 七海建人 , 五条悟
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

モモ - 占ツクで初めて声にならない泣き方してしまったァァァァア!!!文面でだけでも明るくしないとやってらんないぃぃ!!最高でした!! (2022年8月2日 22時) (レス) @page25 id: 54acfceb29 (このIDを非表示/違反報告)
- あれ?目って蛇口でしたっけ?なんか水出てきた… (2022年2月21日 21時) (レス) @page5 id: d826e852a9 (このIDを非表示/違反報告)
ぱらぁ - 夜中にガチ泣きしましたよぉ (2022年1月1日 13時) (レス) @page25 id: 72348a8a16 (このIDを非表示/違反報告)
しぃはる - 魔朝@Bscさん» ホントにそれなです…( ; ; )ナイアガラの滝を軽く五つぐらいは作れそうですよね。←何言ってるんだろう私 (2021年7月4日 0時) (レス) id: 0f3d393f54 (このIDを非表示/違反報告)
魔朝@Bsc(プロフ) - 今なら涙で滝作れる。 (2021年6月28日 9時) (レス) id: 9bfc59222b (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:花蛸花 | 作成日時:2021年6月28日 2時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。