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ここ最近、Aは夏油の任務に同行することが増えた。その理由としては術式を上手く使いこなせるようになるため。
彼の手には、先程祓った低級の呪霊玉。Aは少し眉をしかめたままそれを口の中に入れる。すぐに飲み込みたくても、まだ慣れない彼はその激物をなかなか飲み込めずにいた。
「……A、無理しなくていい。吐き出してごらん?」
夏油がそういうも、Aは首をブンブンと横に振るだけ。目に涙を浮かべ、ゴクンッと喉を鳴らしてやっと飲み込むことが出来た。
「………まずい、」
「だからいいと言ったのに………無理して術式を覚えなくてもいいんだよ?」
「………んーん、」
「…………どうしてそうまでして覚えたいの?」
「…………術師になりたいから。」
彼のその言葉にグッと拳を握った。まさかこんなに早く術師になりたいと言い出すとは思わなかった。
「……だめだよ。この仕事は危険すぎる。」
「…………お父さんたちはやってるのに、?」
「それは………」
「…………僕は、お父さんみたいになりたい。」
そう言ってAは夏油を真っ直ぐと見た。どんなに忙しくても、どんなに疲れていても自分を蔑ろにした事なんてなかった。
初めて呪霊玉を口にした時、こんなものを祓って、取り込んで、祓って、取り込んで、そんなことを毎日のように繰り返しながら自分を大事に育ててくれたんだと、幼いながらに理解した。
いつも笑顔で、休みの日には嫌な顔ひとつせず遊んでくれる。そして次の日からはまた特級として呪霊を祓い、取り込む。そんな父がいつの日か憧れになっていた。
「………これからAにはたくさん選択肢があるんだ。そんなに急いで決めなくてもいいんだよ。今はただの、第一目標として捉えておくんだ。
サッカーだって上手なんだし、オリンピックで大活躍してる姿もお父さんは見てみたいな。」
「術師になる。」
「………ぶれないなぁ………」
「だから悟くんに稽古つけてもらってる。」
「…………ごめんなんて???」
今までの焦りが消えたと同時に、Aを抱えて急いで補助監督の車に乗った。
「悟!!!!出てこい!!!!!」
「あいつならいまさっきスイーツ買いにコンビニまで走ってったぞ。」
「いまさっき!?何かを察して逃げたか……っ!」
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shiro(プロフ) - 誤字の指摘で失礼します!着物が置物になっております!いつも楽しみにしています!! (2021年5月21日 7時) (レス) id: ec5b8a1d5e (このIDを非表示/違反報告)
M(プロフ) - 由基さんと息子くんが出会ったーーー!!!!そしてついに息子くんが御三家に行くですと!?!?何ですかそれ!?めちゃくちゃ面白そうな展開!!!!続きが気になります!!更新頑張ってください!!応援しています!!!! (2021年5月20日 22時) (レス) id: addf3f5d58 (このIDを非表示/違反報告)
M(プロフ) - 冥さんと息子くんの絡みが想像以上にやばかった(最高)でした!!!!そして息子くんにデレデレの直哉くんも(色んな意味で)最高でした!!笑 (2021年5月18日 20時) (レス) id: addf3f5d58 (このIDを非表示/違反報告)
望(プロフ) - 続編おめでとうございます!!!!自分としては五条先生版も読んでるんですが、なんだか重ねて読むのが一番好きです!!!!ひっそり応援しております!!!! (2021年5月17日 5時) (レス) id: 64f1bce536 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうひ(プロフ) - あーもう…好きです… (2021年5月16日 1時) (レス) id: ce721a0333 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:花蛸花 | 作成日時:2021年5月16日 0時