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「やぁ、Aくん。久しぶりだね。」
「冥さん!こんにちは!」
「お久しぶりです、冥さん。」
たまたま高専に来ていた冥冥に頭を下げると、冥冥は満足そうに笑った。彼女と出会ったのは去年、夏油の誕生日のことでその日会った時からやけに気に入られていたのだ。
夏油の息子だから、という単純な理由かと思いきや、彼のお守りを喜んで引き受けたり、彼に貢物をしたりと大層気に入っている様子だった。その理由は明らかではないが、A自身はさほど気にしていないようだ。
「聞いたよ、夏油くんに稽古をつけてもらうようになったそうだね。」
「うん!お父さんが、頑張るならって、!」
「君も術師になるために頑張っているようでなにより。そこで、提案なんだけどね、聞いてくれるかい?」
「………?」
「ふふっ…私にも君への稽古を付けさせてくれないかな。」
冥冥はそう言うと、目元にかかった髪を手で押し上げて彼と目を合わせた。
「え、冥さんが……!?………い、いくらでですか?」
「いやだな、夏油くん。私から誘っているのだからそんなもの必要ないに決まっているじゃないか。」
「は、はぁ……でも、なぜ?」
「理由は簡単だよ。君の息子は君以上に素質があるからね。」
そう言って、親指と人差し指で輪っかを作ってみせる冥冥に首を傾げる。
「ふふふ……Aくん、命の価値、命の重さは何に比例するんだったかな?」
「んー……と………あ、自分に利用価値があるかないか!」
「…………ぅえ???」
いつものような笑顔を浮かべてそう言ったAに、思わず間抜けな声が出てしまう。
「私が教えた。」
「教えた!?!?なんてこと教えるんですか!?」
「この子は純粋、故に術師には向かないところがある。だからこそ、そういう部分も必要だろう?Aくんもそう思うね。」
「……?術師になるために必要ならそうおもう、!」
「ほら。」
「ほらじゃないですよ、!うちの子の純情を弄ばないでください………!」
純粋さにつけ込んでなんてことを教えてるんだ、と血の気が引く。
「Aくん、100円をくれるお兄さんと1000円をくれるお兄さん、どちらの言うことを聞くかな?」
「…………?」
「冥さん!!!!」
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shiro(プロフ) - 誤字の指摘で失礼します!着物が置物になっております!いつも楽しみにしています!! (2021年5月21日 7時) (レス) id: ec5b8a1d5e (このIDを非表示/違反報告)
M(プロフ) - 由基さんと息子くんが出会ったーーー!!!!そしてついに息子くんが御三家に行くですと!?!?何ですかそれ!?めちゃくちゃ面白そうな展開!!!!続きが気になります!!更新頑張ってください!!応援しています!!!! (2021年5月20日 22時) (レス) id: addf3f5d58 (このIDを非表示/違反報告)
M(プロフ) - 冥さんと息子くんの絡みが想像以上にやばかった(最高)でした!!!!そして息子くんにデレデレの直哉くんも(色んな意味で)最高でした!!笑 (2021年5月18日 20時) (レス) id: addf3f5d58 (このIDを非表示/違反報告)
望(プロフ) - 続編おめでとうございます!!!!自分としては五条先生版も読んでるんですが、なんだか重ねて読むのが一番好きです!!!!ひっそり応援しております!!!! (2021年5月17日 5時) (レス) id: 64f1bce536 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうひ(プロフ) - あーもう…好きです… (2021年5月16日 1時) (レス) id: ce721a0333 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:花蛸花 | 作成日時:2021年5月16日 0時