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謹慎中は与えられた課題をこなさなればならない。こんなに机に向かって勉強をしたのは中学以来か…なんて呑気なことを考えながらサラサラと問題を解いていく。
そんな生活をはじめて、もう1ヶ月が経とうとしていた。
「入るよ〜ん。」
「やぁ、悟くん。任務終わり?」
「そ、任務終わり。」
机に向かって課題をするAのすぐ隣に椅子を引いてきて、五条はそこに座った。
「聞いたよ。面会全部断ってるんだって?」
「……うん。」
「連絡も返ってこないってみんな心配してたよ。」
「最初の初日以来返してないからね。」
「なんで?」
「……謹慎中だからね。許可が降りたとはいえ、反省するための期間だから。」
そう言って、彼はまたペンを進めた。
「会いづらいんでしょ、みんなに。」
五条のその言葉に、図星とでも言うように彼の手が止まった。その様子に五条は小さく息を吐いた。
「何をそんなに気にしてんの?非術師に手を挙げたこと?」
「………そうだね………うん、そうだよ。今まで非術師は私たちが守るべきものだと思ってきた。幸慶達にそう教えたのも私だ。でも結局非術師に手を出そうとしたのは私だ。………でも後悔はしてない。
悟くん、私は今も非術師は守るべきものだと今も思ってるよ。」
「………そう。」
「でも、自分は助けられて当たり前だと、助けるべき術を持った人間は助けられるべき人間を必ず助けるべきだと勘違いした
自分でもどこか矛盾しているとわかっていた。それでも彼にとってはそれが今の気持ちだった。
「…私たちだって、全員を助けられるなら助けてるよ。実幸だって、あの男性を助けたかったに決まってる。」
「…だろうね。」
「……でも、勝手に危険な場所に足を踏み入れたのはあいつらだ。危険だと分かっていたはずなのに。……だから死んで当然なんだよ。」
「……それを助けるのも僕たちの仕事なんだよ。」
「…………分かってるよ。」
Aはそう言って眉を下げて笑うと、また課題を始めた。分かっている、分かっているからこそ辛かった。守るべき、でも嫌い。
「(……辛いなら辞めればいいのに。)」
その言葉が言えたらいいのにな、と五条は小さくため息をついた。
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ゆーりん - 泣きそうになったのは仕方のないことです!辛い!! (2022年11月20日 2時) (レス) @page35 id: 63a2588af8 (このIDを非表示/違反報告)
魔朝@Bsc(プロフ) - おっと目から水が......(´: ω :`) (2021年6月26日 21時) (レス) id: 9bfc59222b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:花蛸花 | 作成日時:2021年6月25日 2時