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「全く……最後の最後までこき使われるなんてね……」
翌日、早朝から任務を入れられていたAは昨晩酔っ払って二日酔い状態の夏油を残して家を出た。五件の一級案件を片付けて、やっと高専に戻ってくる。
「今日までに報告書終わるかなぁ……書き終わらなかったら補助監督に任せるとして……」
ガシガシと頭を掻きながら教室に向かっていると、スマホが鳴る。まさかまた任務か?と眉を顰めながらスマホを開く。
「……なんだ、幸慶か。」
ほっと息を吐いた後スマホにパスワードを打ち込んでロックを解除する。
幸慶すぐ来て、談話室
幸慶緊急任務
こんな時まで緊急任務かよ、とAはため息をついた。まぁ最後なわけだし仕方ないかと大人しく談話室へと向かった。
しかし、何やら真っ暗な談話室の中からは大人数の人間の気配がする。変だな、そう思い少し考える。なにか企んでいるのだろうということは確定である。しかし何を企んでいるのか……答えは一つしかない。
「……まぁ、驚いてやるくらいはするけどね。」
Aは小さく微笑んだあと談話室の扉を開けた。
「幸慶、来たよ〜」
彼がそう一言声をかけると、パッと明かりがついてクラッカーの音が鳴り響く。顔の知った面々が集まったその談話室には、「A、海外に行っても頑張って!!」と書かれた横断幕が貼り付けてある。
誕生日かよ。そう小さく笑うと、頭に着いた紙吹雪を手で払う。
「サプライズなんて驚いたな。」
「だろ!?驚いたろ!」
「Aのために朝から準備してたの!」
成功したと思い込んでいる幸慶と実幸だが、それ以外の彼らは気づいている様子で苦笑いを浮かべていた。そもそも、彼が人の気配に気づかないわけがないし、部屋が真っ暗なことを不思議に思わないはずもないのだ。
「今日で暫く会えなくなるからってみんなわざわざ集まってくれたんだよ。」
「歌姫先輩もよろしく言っといてくれってさ。」
「あのくそ直哉からもプレゼント届いてるけど捨ててよさそう?」
「やめろ。」
本気で捨てかねない五条から小包を取り上げてため息をつく。
「ほら、こっち来い色男。お前の好きなもんたっぷり作ってやったんだから。」
「うん、ありがとう。」
こっちこっち!と実幸達に手を引かれて椅子に座らされる。お別れ会、何てものをされると改めて実感してしまう。
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ゆーりん - 泣きそうになったのは仕方のないことです!辛い!! (2022年11月20日 2時) (レス) @page35 id: 63a2588af8 (このIDを非表示/違反報告)
魔朝@Bsc(プロフ) - おっと目から水が......(´: ω :`) (2021年6月26日 21時) (レス) id: 9bfc59222b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:花蛸花 | 作成日時:2021年6月25日 2時