前髪と息子-5【呪術廻戦】 (ページ24)

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｢先輩～！手合わせしましょ！！｣

｢……？珍しいね、君たちから手合わせなんて。｣

｢だってもうすぐ海外行っちゃうじゃん！！｣

はやくはやく！と急かすように自分の手を引く後輩たちに、はいはいと軽く返事をして教室を出る。

｢すみません、急でした？｣

｢急すぎるよ。まぁ、予定も何も無かったからいいけどね。それより、早くストレッチすませておいで。鞠愛ちゃんは私とやろうか。｣

｢はーい！｣

正直、女同士がいいのはあるが、この際仕方がない。ｸﾞｯｸﾞｯと夕霧の背中を押しながら、Aは小さく呟いた。

｢あの時はすまなかったね。怖がらせてしまっただろう？｣

｢あの時……？……あ、あの日ですか？｣

｢そう。酷く脅えた様子の君の顔、よく覚えてるよ。｣

｢それバカにしてません？｣

｢してないよ。これでも、悪いと思ってるんだ。｣

｢………確かに、ちょっと怖かったですよ。先輩があんなガチで怒ってるのなんて見たこと無かったし、誰よりも自分が術師としての自覚を持ってて、非術師を助けることを最優先にしてて……でも、めちゃくちゃスッキリしました。｣

彼女はキリッとした顔で彼を見た。そんな彼女を前に、きょとんっと目を丸くしてしまう。

｢スッキリ……？｣

｢だってあの女見るからに遊んでます感あったじゃん！てめぇがビッチなんだよって話でしょ！！それに、大好きな先輩を悪く言われてめちゃくちゃ腹立ったんだから、昔から一緒に居た夏油先輩が殺したいほどムカつくのも当たり前じゃん？

だから、めちゃくちゃスッキリしました！なんなら殺してよかった！｣

｢私を本格的に死刑にする気じゃないかそれ。｣

｢ま、それは冗談として……スッキリしたのはほんとです。でも、もうやめてくださいね。……死刑にならなくて良かったです。｣

｢……悪いね、心配かけたみたいで。｣

｢ほんとですよ。｣

｢せんぱーーい！こっち終わりましたー！｣

二人がそんな話をしているなんて露知らず、本堂はブンブンと腕を振って飛び跳ねていた。

｢すぐ行くよ。……さ、行こうか。手合わせができるのは多分今日だけだからね。張り切っていくよ。｣

｢はーい！｣

夕霧は元気よく返事をすると、同期二人の方へと走っていった。可愛くて、健気で、自分を心から慕ってくれるいい後輩を持てたな。なんて、絶対に言ってはやらないが。