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「聞いたよ、海外に行くんだってな。」
聴診器をカバンにしまいながら、家入は彼にそう言った。どうやらもう話は回っているようだ。
「うん。でも安心してよ。私はちゃんと任務を受ける予定だから。」
「幸慶達が驚いてたぞ。しばらく騒がしかったな。真希は今もイラついてるよ。ここ出たら覚悟した方が良さそうだな。」
「…………そんなに怒ってた?」
「怒ってた。」
「…………………」
ここを出たくないと思ったのは初めてだ。なんの相談もなしに決められれば怒るのも当たり前か、とAはため息をついた。
「最近はどうだ?眠れるか?」
「眠れてるよ。悩みがひとつ解決したおかげかもしれないな。」
「それは何よりだな。食事はどうだ?」
「あぁ、食べれてるよ。」
「なら問題ないな。謹慎が開けるまで残り1ヶ月ちょっと。それまで問題を起こすなよ?」
「起こさないよ。」
どうだかな、と家入は小さく笑って部屋を出ていった。今までそんなに目立った問題行動を起こしたことなんてなかっただろう、とAは少し拗ねたような顔をしてベットに寝転んだ。
「あと1ヶ月か……意外と早いな。」
そう思っているのは自分だけかもしれないが。
外に出たらまず海外に行くための準備をしなければならない。その前にみんなと顔を合わせる方が先だろうか。そんなことを考えていると、ふと思い浮かんだのは真希の顔だ。
相当怒っているらしいが、殺されやしないよな?なんて今から不安になる。
「……また会えなくなるのか。」
自業自得な事だが、この半年間真希に会えなかったのは結構こたえたと思う。そもそも面会を断ったのも自分なわけだが、そこからまた2年も会えなくなるのは結構辛い。しかし、もう決めたことなのだから悩んでも仕方がない。
Aはもう一度、大きなため息をついた。
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ゆーりん - 泣きそうになったのは仕方のないことです!辛い!! (2022年11月20日 2時) (レス) @page35 id: 63a2588af8 (このIDを非表示/違反報告)
魔朝@Bsc(プロフ) - おっと目から水が......(´: ω :`) (2021年6月26日 21時) (レス) id: 9bfc59222b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:花蛸花 | 作成日時:2021年6月25日 2時